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J.フロント リテイリング(3086) 既存事業革新の鍵を握る大丸心斎橋店新本館、新生渋谷パルコに要注目

QUICK企業価値研究所アナリスト 永田和子(2019/07/05)

・心斎橋は9月20日、渋谷は11月下旬開業予定
 百貨店では収益の柱であるアパレルの落ち込みが大きい。今期2Q以降は前年(自然災害、暖冬が悪影響)のハードルが低いが、6月は日本人向けが引き続き低調。免税売上高の伸び鈍化も目立つ。増税直後の年末商戦で消費冷え込みが懸念されるなど事業環境が厳しさを増すなか、中長期的成長に向けた既存事業革新の鍵を握る大丸心斎橋店新本館(開業予定9月20日)、新生渋谷パルコ(同11月下旬)の動向に要注目だ。

・今期は先行経費で実質事業利益横ばい圏だが、心斎橋、渋谷が本格貢献する来期から再び成長軌道へ
 連結事業利益の企業価値研究所予想は今期500億円(前期比10%増)、来期545億円、22/2期585億円。今期は事業領域拡大、ICT戦略等に伴う先行経費から、IFRS16号適用影響を除く実質ベースで横ばい圏だが、心斎橋、渋谷の本格貢献により来期から再び成長軌道へ。22/2期は心斎橋店北館の構造転換、クレジット金融の投資回収局面入りも後押しする見込み。ただし、「中計」連結営業利益目標の実質達成には、心斎橋・渋谷モデルの横展開、クレジット金融の構造転換、パルコの構造改革、周辺開発の本格化などが不可欠だろう。ROE(「中計」目標8%以上)改善に向けた株主還元強化にも期待。

・リスクファクター ~消費増税、競合激化など

・アナリストの投資判断 ~来期予想でPER10倍台、配当利回り3.2%、株価回復余地は大きいとみる
 来期のPER(当研究所予想)は10倍台と、厳しい評価が続いた前期の平均13倍を下回るうえ、配当利回り(同)は今期2.9%、来期3.2%と高水準なこともあり、株価の回復余地は大きいとみる。7月23日開催予定の初の事業戦略説明会(クレジット金融事業の成長モデルへの転換などがテーマ)などに注目。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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