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三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 債券収益が伸長。いくつかの要因も重なり今期利益の出足は強含み

QUICK企業価値研究所アナリスト 柊宏二(2019/08/14)

・1Q連結純利益は24%増で会社目標比43%の進捗
 20/3期1Qの連結純利益は前年同期比24%増の3911億円。会社通期目標に対し43%の高進捗となった。本業収益は債券関連収益の伸長で順調な出足となり、大口貸出先の引当金や米国での訴訟関連の引当金の戻り、タイの関連会社の売却益、三菱UFJニコスの税効果などの要因も利益を押し上げた。企業価値研究所は20/3期の連結純利益を会社目標と同じ9000億円とした予想を据え置く。バンクダナモンの減損リスクなどを考慮したが、今期会社利益目標の未達の可能性はすでにかなり低下したとみる。21/3期、22/3期は進めている戦略出資や構造改革の効果等で引き続き緩やかな増益を予想。

・20/3期の1株当たり年間配当金は3円増配の計画
 19/3期末の普通株式等Tier1比率は規制最終化ベースで会社目標を超過。出資強化の影響などで非常に余裕がある状況でもないが、懸念される水準ではない。20/3期は1株当たり年間配当金を3円増配の25円と計画。配当性向を40%へ引き上げる方針も示しており、機動的な自己株取得も含め株主還元は高水準が続こう。

・リスクファクター ~相場変動、日銀追加緩和等

・アナリストの投資判断 ~当面伸び悩む可能性。5%近い配当利回りには一定の訴求力
 現状20/3期予想PERは7倍、実績PBRは0.4倍程度と歴史的低水準。進めている戦略出資や構造改革の効果による中期的な利益成長、株主還元強化の見通しなどを踏まえると、中長期でみれば上値を追う余地がある水準とみる。ただ、当面は世界経済の減速や世界的な金利低下への懸念がバリュエーション改善の阻害要因となり、株価は伸び悩む可能性がある。約5%まで上昇した株式の配当利回りは、一定の訴求力を有すると評価する。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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