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旭化成(3407) 臨時修繕費用の発生や全般的な需要低迷で営業利益を小幅減額修正

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2019/08/19)

・住宅部門は従来想定以上の伸びを見込む
 20/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高2兆2700億円→2兆2400億円(前期比3%増)、営業利益2050億円→2030億円(同3%減)へ修正する。住宅部門は物件の大型化などで従来想定以上の伸びが見込めるが、従来からAN(アクリロニトリル)の採算悪化で減益を見込んでいた基盤マテリアル部門は、1Qに臨時修繕費用が発生したため一段と予想を減額。スマートフォン市場低迷や景気減速による全般的な需要低迷もマイナス要因となり、連結全体で営業利益の見通しを小幅引き下げた。続く21/3期以降はLiBセパレータやANなど主要製品の数量増と採算改善、合理化の効果で業績は拡大に向かおう。

・1Qは基盤マテリアル部門の苦戦などで減益に
 20/3期1Qの連結営業利益は、前年同期比14%減の413億円。住宅部門やクリティカルケア部門が好調だったが、設備の臨時修繕や採算悪化で基盤マテリアル部門が落ち込み、連結全体で2桁減益を強いられた。

・リスクファクター ~ANの採算や為替の動向など

・アナリストの投資判断 ~足元の水準は割安。株価は徐々に値を戻す見通し
 18年秋から年末にかけて急落した株価は、19年に入って1000円台前半の狭いレンジで推移していたが、1Q決算と上期業績見通しの下方修正が嫌気されて再度急落。直近では当研究所の今期予想連結PERで8倍台と、総合化学メーカーの平均を上回るが、同社の過去の平均的な水準である14倍を下回る。今期はANの採算悪化に加え、世界的な景気減速の影響による需要低迷で業績は伸び悩むが、21/3期以降は再度拡大に向かう公算が大きい。化学メーカーのPERが全般に低下する中、同社のPERも上昇は難しいが、過去のレンジの下限をやや下回る10倍程度の評価は可能であり、株価は徐々に値を戻すと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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