国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)への資金流入が細っている。QUICK資産運用研究所が推計したところ、9月は設定額から解約・償還額を差し引いた資金流入超過額が約269億円と、前月の10分の1に落ち込んだ。
設定額の内訳を詳しくみると、9月はSMBC日興証券のファンドラップで外国籍から国内籍のファンドに約800億円の資金移動があり、この分だけ国内公募の追加型株式投信への流入超過額が押し上げられた。この特殊要因を差し引くと、9月は事実上の資金流出超過だったことになる。流出超は2017年10月以来、11カ月ぶり。
投資対象の資産別に見ても、「国内株式型」が11カ月ぶり、「新興国株式型」が1年7カ月ぶりの資金流出超に転じた。
直近1年で流入超過額が最も多かったのは今年1月。当時の個別ファンドの資金流入ランキングを見ると、その月に設定された「モビリティ・イノベーション・ファンド」(85311181)が最多の1799億円(推計値)を集めた。これに対し、9月はラップ専用を除く首位が「netWIN ゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンドBコース(為替ヘッジなし)」(3531299B)の312億円だった。
上位5ファンドの合計額も、1月に4790億円だったのが9月は1876億円(ラップ専用を除くと1044億円)どまり。市場規模の拡大をけん引するほどの人気ファンドが見当たらなかった。
人気が長く続くファンドが少ないことが資金流入鈍化の一因だ。1月に上位5本に入ったファンドのうち、9月は4本が資金流出超だった。流入超を維持した「ひふみプラス」(9C311125)も、このところ個人投資家の熱が冷めつつある。
9月に新規設定された「ゴールドマン・サックス社債/国際分散投資戦略ファンド2018‐09(愛称:プライムOne2018‐09)」(47211189)は申込期間に840億円の資金を集めた。このファンドはいつでも購入できる追加型ではなく、購入期間が限られる単位型なので、集計対象には含まれない。
(QUICK資産運用研究所 西田玲子)