QUICK資産運用研究所=望月瑞希
投資信託の運用成績は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく悪化したが、最近はパフォーマンスが復調するファンドも増えてきた。主に国内の株式で運用するタイプのうち、4月の騰落率上位には中小型株に投資する積極運用(アクティブ)型が目立った。
国内公募の追加型株式投信(ETF、DC専用を除く)のうち、国内株式型(QUICK独自の分類)の4月の月間騰落率(分配金再投資ベース)をランキングして図表にまとめた。上位10本とも15%を超えるプラスのリターンで、配当込み東証株価指数(TOPIX)の4.35%を大きく上回った。
コロナ禍で株式相場が大きく値崩れした際に「逆張りマネー」が向かったのは、国内株式型の中でも指数連動した運用成果を目指すインデックス型。しかし、相場の戻り局面で「反発力」の強さを見せつけたのは、独自の視点で銘柄を選りすぐったアクティブ型の中小型株ファンドだ。
首位は「DIAM新興市場日本株ファンド」(4731107B)の21.30%。新興市場に上場する中小型株に投資する。10ファンドの中で、唯一3カ月騰落率がプラスで、早くも新型コロナウイルス感染拡大で市場に混乱が広がる前の水準まで戻している。
最新の月次レポート(4月30日時点)によるとオンライン診療の仕組みを病院向けに提供するメドレー(4480)やクラウド関連のセキュリティサービスを手掛けるHENNGE(4475)など、情報・通信業の銘柄を6割以上組み入れている。
今後の運用方針については「分野別では、診療や教育、放送や金融、行政など、オンライン化が遅れていた産業の構造変化に注目している」とコメント。過去に大きな危機を経て時代をけん引する変革が起きたことに触れ、今回も「担い手が志すところを見極め、正しい時間軸で事業価値を測り、その先に期待する」としている。
3位の「ダイワ新興企業株ファンド」(04312067)も組み入れ銘柄の多くが情報・通信業だった。運用担当者は月次レポート(3月31日時点)で、銘柄選びについて「厳しい環境になるほど企業間での優劣をつけやすい機会」と指摘。平常時に戻った時の「勝ち組企業」を見極めるポイントとして、①業績が落ち込む局面で従業員に対する待遇を落とさないこと②非常時に必要なサービスなどの無償提供を行うこと③取引先が苦しんでいる時に支援すること――を挙げた。
6位の「社会課題解決応援ファンド(愛称:笑顔の架け橋)」(0431118C)は、社会が抱える課題の解決を通じて成長が期待される企業が投資対象。成長力や割安さを重視する他のファンドと異なり、独自の切り口で投資テーマを選定し銘柄を絞り込む。3月31日時点の月次レポートではテーマごとの組み入れ比率も開示しており、デジタル技術で事業を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や「働き方改革」といったテーマへの投資割合が大きい。
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