QUICK資産運用研究所=望月瑞希
農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)が2019年12月に運用を始めた投資信託「農林中金〈パートナーズ〉おおぶねJAPAN(日本選抜)」(B431119C)は、初回の月次レポートを20日に公開した。最高投資責任者(CIO)である奥野一成氏のファンド保有状況を開示するなど、他のファンドではあまり見ないユニークな内容が目を引く。初回レポートの半分はNVICおおぶねシリーズの「オーナーズマニュアル」と位置づけ、奥野氏が運用哲学を熱く語った。
「おおぶねJAPAN」は国内株式の中から長期投資に向く銘柄を厳選して投資するアクティブ(積極運用)型のファンド。設定当初から投信ブロガーなどがSNS(交流サイト)上でさかんに取り上げていたファンドなだけに、その具体的な運用の中身に注目が集まっていた。
レポートで明らかになった組み入れ銘柄数は80銘柄で、キーエンス(6861)や良品計画(7453)、信越化学工業(4063)など有名企業が並ぶ。「高い産業付加価値(=必要か?)」と「圧倒的な競争優位性(=強いのか?)」の2つの軸で銘柄を選別。銘柄ごとのウエイトには差をつけずに運用する。
4月末時点の1カ月リターンはプラス5.9%で、3カ月はマイナス6.7%。月次レポートでは、保有銘柄が株価指数とどれだけ異なっているかの度合いを示す「アクティブシェア」や売買回転率なども開示されている。
長期投資を前提とした運用哲学のほかに、「日本のインデックスはなぜ上がらないのか」といった問題の解説や、現在進行中のコロナショックについての見解など、個人投資家の興味を引きそうなトピックスが多く盛り込まれている。今年3月に運用を始めた「農林中金<パートナーズ>おおぶねグローバル(長期厳選)」(B4311203)の月次レポートにも似た内容が掲載されている。5月27日には奥野氏の著書「ビジネスエリートになるための教養としての投資」(ダイヤモンド社)が発売される予定だ。
◇農林中金〈パートナーズ〉おおぶねJAPAN(日本選抜)の月次レポート
◇農林中金<パートナーズ>おおぶねグローバル(長期厳選)の月次レポート