QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2020/08/07)
・予想減額も今期の会社計画は保守的とみる
会社側は1Q決算発表時(7月31日)に、未定としていた業績見通しを公表。21/3期の連結営業利益は、600億円(前期比53%減)を計画。新型コロナウイルス感染拡大による売り上げ減が響く見通し。企業価値研究所では、営業利益予想を1050億円→760億円(同41%減)に減額。足元の需要動向などを勘案、自動車事業のカーエアコン用コンプレッサー、産業車両事業のフォークリフトなど機台の販売台数を引き下げた。ただ、下期に正常な経済活動に戻ることを前提に、両製品とも会社想定ほどには落ち込まないと判断、会社計画は保守的とみている。
・産業車両事業では物流ソリューションの拡大を予想
22/3期以降は、期を通じて正常な経済活動が可能と想定、利益の回復局面へ転じると予想する。自動車事業では、ハイブリッド車を中心とした電動車普及を追い風に、カーエアコン用電動コンプレッサーが伸長する見通し。産業車両事業では、先進国での労働力不足や、新興国での人件費高騰を背景に、人による荷役・搬送の機械化ニーズが高まっている。eコマース市場の発展による物流量の増大もあり、物流ソリューション市場の拡大が続くとみている。
・リスクファクター ~新型コロナ、トヨタの生産動向
・アナリストの投資判断 ~中期的な利益成長期待から緩やかな持ち直しを予想
直近の株価に基づく、期を通じて正常な経済活動が可能と見込んだ翌22/3期の当研究所予想PERは12倍。同社の過去60カ月の平均PERとおおむね同水準にある。PERでの割安感が薄れたため、当面の株価の上値余地は限定的とみる。ただ中期的には、カーエアコン用電動コンプレッサーの拡販、物流ソリューションの事業拡大による利益成長期待から、株価も緩やかに持ち直す展開を予想する。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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