QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2020/10/28)
・精密小型モータの収益力向上を評価。利益予想増額
21/3期通期の連結営業利益計画について会社側は、1250億円→1400億円(前期比29%増)へ上方修正。徹底した原価低減や固定費の適正化といった「WPR(ダブル・プロフィット・レシオ)4」プロジェクトの推進で足元の収益力が向上、上期の計画上振れ分を反映した。企業価値研究所では、データセンター用HDD(ハードディスクドライブ)モータの販売好調などによる精密小型モータの収益力向上を評価、従来の会社計画より強めだった営業利益予想を、1350億円→1430億円(同32%増)へ再度増額。新型コロナウイルスの第2波による経済活動への影響には注意を要するが、「WPR4」プロジェクトの推進継続で、下期も会社計画を上振れる余地はあるとみた。
・来期営業利益で過去最高更新予想に変更なし
22/3期以降も、利益予想を増額。22/3期に営業利益で過去最高を更新するとの見方に変更はない。積極的な受注活動に邁進しているBEV(電気自動車)用トラクションモータシステムに関しては、順調に受注を積み上げている。先行費用には注意を要するが、同社の中長期的な成長を牽引するとの見方を継続する。
・リスクファクター ~創業者に依存する経営体制
・アナリストの投資判断 ~成長期待大きく、中期的に上値を追う展開を予想
直近の株価に基づく、期を通じて正常な経済活動が可能と想定した翌22/3期の予想PERは、44倍。同社の過去60カ月(一過性費用を計上した20/3期を除く)は、おおむね21~46倍のレンジで推移しており、レンジ内に収まっている。当面の株価は、足元で上場来高値を更新したため、利益確定売りに押され上値の重い展開も想定される。ただ中期的には、トラクションモータシステムの受注拡大による成長期待が大きく、上値を追う展開を予想する。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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