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JSR(4185) 半導体材料は好調だが、エラストマー部門が想定以上に落ち込む

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2020/10/30)

・自動車分野の環境が想定以上に厳しく、下方修正
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益4230億円→4200億円(前期比11%減)、営業利益250億円→180億円(同45%減)へ引き下げる。今期は従来から、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴う自動車分野の需要低迷でエラストマー、合成樹脂の両部門の業績が大きく悪化するとみていたが、環境は想定以上に厳しく、予想を一段と減額。デジタルソリューション部門は半導体材料の好調で従来の減益予想を小幅増益見通しに引き上げたが、連結全体で下方修正を避けられなかった。続く22/3期は主要製品の販売数量増で業績は大きく回復するが、エラストマー部門の利益は依然低位にとどまりそうだ。

・上期はエラストマー部門の赤字拡大などで苦戦
 21/3期上期の連結営業利益は前年同期比95%減の11億円。半導体材料販売を伸ばしたが、エラストマー部門が自動車減産に伴う合成ゴムの数量減と市況悪化で赤字を拡大し、連結全体でも苦戦を強いられた。

・リスクファクター ~新型コロナ影響の長期化など

・アナリストの投資判断 ~株価に割高感はない。エラストマー部門の改革で一段の評価上昇も
 新型コロナウイルス感染症拡大を受けて20年春先に急落した株価は、その後世界的な半導体関連銘柄の好調を追い風として大幅に上昇。足元では18年前半以来の高値圏にある。直近では当研究所の来期予想連結PERで20倍台と、同社の過去の平均を小幅に下回り、割高感はない。来期以降の業績回復や、半導体材料の好調を考慮すると、同平均並みの22倍程度の評価は可能だろう。業績拡大の重荷となっているエラストマー部門の抜本的な構造改革が進めば一段と評価が高まる可能性も高く、今期中に発表予定の新中期経営計画に注目したい。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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