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日本ゼオン(4205) エラストマー素材部門を中心に今期は大幅減益に

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2020/11/04)

・高機能材料部門は小幅ながら増益を確保へ
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、売上高が前期比14%減の2780億円、営業利益が同27%減の190億円を予想する。今期は従来、高機能材料部門が小幅ながら増益となる一方、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う自動車、タイヤメーカーの減産により、合成ゴムなどの需要が減少してエラストマー素材部門が落ち込み、連結全体で大幅な減収、減益になるとみていた。見方に大きな変更はなく、ほぼ従来予想を据え置いたが、会社計画の営業利益160億円との比較ではこれを上回る公算が大きいと考える。続く22/3期は新型コロナ影響が収束して需要が正常化し、業績は回復に向かう見通し。

・上期は苦戦も、事前の想定をやや上回る利益を確保
 21/3期上期の連結営業利益は前年同期比34%減の99億円。合成ゴムの需要低迷と採算悪化でエラストマー素材部門が大幅な減益に。高機能材料部門は光学フィルムを中心に堅調に推移したが、連結全体で業績は大きく悪化した。ただし、当研究所が事前に想定していた90億円との比較では、これを小幅上回った。

・リスクファクター ~新型コロナ影響の長期化など

・アナリストの投資判断 ~足元の水準には割安感があり、株価は引き続き堅調に推移へ
 新型コロナウイルス感染症の流行に伴って株価は2月から3月にかけて急落したが、その後徐々に値を戻し、足元では1月につけた年初来高値近辺にある。直近では当研究所の来期予想連結PERで約15倍と、電子材料メーカーの平均を下回る。今期は大幅な減益が避けられず、新型コロナ影響の収束時期も依然不透明だが、高機能材料部門は比較的底堅く推移している。このため、短期的に大幅なPER上昇は難しいものの、電子材料メーカーの平均をやや下回る同17倍程度の評価は可能であり、株価は引き続き堅調に推移すると考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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