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三菱ケミカルホールディングス(4188) コア営業利益を上方修正したが、減損損失計上で純損益は赤字に

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2020/11/09)

・ヘルスケアを中心にコア営業利益の予想を引き上げ
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益3兆1300億円→3兆1800億円(前期比11%減)、コア営業利益1310億円→1380億円(同29%減)、純損益440億円の黒字→570億円の赤字(前期は541億円の黒字)へ修正する。今期は新型コロナウイルス感染症の流行による全般的な需要減少やMMAの採算悪化でなどで大幅な業績悪化を避けられない見込みだが、ヘルスケア部門の費用減少などを勘案し、コア営業利益の従来予想を増額。一方、開発中だった新薬に関する減損損失計上や、下期に予定するMMAの工場閉鎖に関する損失を織り込んで、営業利益以下の予想を大きく引き下げた。続く22/3期以降は新型コロナ影響も収束して需要が正常化し、業績は回復に向かう見込み。

・上期の業績は大きく悪化も、コア営業利益は底打ち
 21/3期上期の連結コア営業利益は、前年同期比58%減の546億円。新型コロナ影響による需要減少と採算悪化で大幅な減益となったが、1Qから2Qにかけて改善しており、業績の底打ちが確認できたと言える。

・リスクファクター ~新型コロナ影響の再拡大など

・アナリストの投資判断 ~環境は厳しいが、割安感があり、株価は徐々に上昇へ
 新型コロナウイルス感染症の流行を受け、同社の株価も2月から3月にかけて急落。その後も市場が大きく値を戻す中で低調な推移を続け、11月に入って年初来安値を更新した。直近では、来期の当研究所予想連結PERで8倍台と、収益が低水準にとどまる昭和電工を除いた総合化学メーカーの平均である11倍を下回る。MMAの事業環境の厳しさなどを考慮すると、他社の平均並みの評価は難しいが、自動車分野を中心とした需要回復で足元の業績は改善傾向にあり、10倍程度の評価は可能だろう。一段の下値不安は小さく、株価は徐々に上昇に向かうと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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