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旭化成(3407) 今期は2桁減益を見込むが、従来予想を上方修正

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2020/11/17)

・想定以上に需要が回復、経費削減も進む
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高1兆9600億円→2兆200億円(前期比6%減)、営業利益1250億円→1460億円(同18%減)へ引き上げる。今期は従来、クリティカルケア部門が大幅な増益となるものの、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う主要製品の需要減少とAN(アクリロニトリル)の採算悪化などで他の各部門が落ち込み、連結全体で大幅減益になるとみていた。見方に大きな変更はないが、自動車分野などで想定以上に需要が回復しているほか、経費削減も進んでいるため、売上高、各利益段階とも上方修正した。続く22/3期以降は数量増と採算改善、合理化の効果で業績は拡大に向かおう。中長期的には自動車分野やヘルスケア領域での成長が期待される。

・上期は大幅減益だったが、当研究所の想定を上回る
 21/3期上期の連結営業利益は、前年同期比25%減の768億円。主要製品の出荷減少と採算悪化で大幅減益だったが、自動車分野の需要底入れなどにより、当研究所が想定していた700億円を上回った。

・リスクファクター ~新型コロナ影響の再拡大など

・アナリストの投資判断 ~割高感はなく、株価は徐々に上昇へ
 新型コロナウイルスの流行を受けて、同社の株価も2月から3月にかけて急落。その後値を戻しつつあるが、株式相場全体と比較して動きは鈍く、足元でも年初の水準を2割近く下回る。直近では、来期の当研究所予想連結PERで約13倍と、業績が低水準に落ち込む昭和電工を除いた総合化学メーカーの平均である11倍を上回る。ただし、化学メーカーの中では比較的業績が安定している同社は、不透明感の強い環境で選好される傾向があり、割高感はない。今期は通期でも大幅な減益が避けられず、本格的なPER上昇は難しいが、主要製品の需要が回復基調にある点などを考慮すると同14倍程度の評価は可能であり、株価は徐々に上昇に向かうと予想する。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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