QUICK企業価値研究所アナリスト 永田和子(2020/11/30)
・巨額の開発費を投じるHDゲーム新作のリスクが露呈
デジタル化の恩恵を享受した今期1Qから一転、2Qは大型新作『Marvel’s Avengers』の躓きでHDゲームが大幅営業赤字に転落。巨額の開発費・宣伝費を投じる大型新作の成否で損益が大きく変動するリスクがあらためて露呈した。今後も『OUTRIDERS』(4Q発売予定)など、新規IPの大型新作が控えるだけに、一定のリスクを念頭に置く必要があろう。『FF16』(発売時期未定)など、固定ファンを擁す人気IPの新作でも開発費膨張を防ぐべく、内外開発体制強化による新作投入サイクル短縮を期待。
・今期営業利益500億円台乗せ(過去最高大幅更新)へ
連結営業利益の企業価値研究所予想は業績表の通り。上記リスクを踏まえ、前回から減額した。ただし、コンテンツ拡充が進むMMO『FF14』、「異世界転生系マンガ」で差別化する漫画アプリ「マンガUP!」(ラノベにも参入予定)、IP力を生かした厳選開発で『ドラクエウォーク』、『FFBE幻影戦争』、『ドラクエタクト』など大型ヒットが相次ぐスマホゲームによる継続的な収益基盤の底上げで今期、初の500億円台乗せ(過去最高382億円の大幅更新)が見込まれる点を評価したい。収益基盤の底上げが進むことで、新しいことへ挑戦するHDゲームのリスクを吸収できよう。
・リスクファクター ~開発費の回収リスクなど
・アナリストの投資判断 ~収益基盤底上げを考えれば、株価は上昇余地ありと判断
2QのHDゲーム大幅赤字を受けた株価急落により来期PER(当研究所予想)は19倍。『ドラクエウォーク』開始前までの3年平均20倍を下回り、継続的な収益基盤の底上げを考えれば、株価は上昇余地ありと判断。今後の注目点は、「The Game Awards 2020」(米国時間12月10日)、「ジャンプフェスタ2021」(12月19・20日)での情報更新、『ドラクエ』35周年(来年)企画発表、『OUTRIDERS』の評価、『FF16』の続報(来年予定)など。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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