【QUICK Market Eyes 片平 正二、QUICK Market Eyes 大野 弘貴】新型コロナウイルス(COVID-19)の追加経済対策法案をトランプ大統領が27日夜に署名した。救済パッケージの成立を踏まえ、ゴールドマン・サックスは27日付のリポートで「21年1~3月期(1Q)の米国内総生産(GDP)成長見通しを3.0%成長→5.0%成長に引き上げる」との見解を示した。
600ドルの給付金の支払いのほか、同社が想定していたより早く、追加的な失業手当と中小企業に対する支援が提供されることから、可処分所得の大幅な増加が見込まれるという。ただ21年4~6月期(2Q)、21年7~9月期(3Q)の成長見通しは変更せず、2021年の年間GDP見通しを5.3→5.9%成長に引き上げた。
エバコアISIは28日付リポートで、この財政パッケージにより2021年9月まで毎月30万人の雇用増が見込めると予想。また、新型コロナウイルスの感染拡大に依存しない商品の支出が既に世界金融危機(GFC)後の水準を回復していることから、経済が再開されることで消費者の貯蓄をサービス経済に向けることが可能になるとの見方も示している。
米下院は今週にも、成人1人当たりの現金給付額を600ドルから2000ドルに増額する法案を単独採決すると見込まれているが、エバコアはこの法案が「可決されそうにない」と予想。それでも、特にネガティブ視されず、ヘッドラインリスクは僅少と見込んだ。
一方、強気な市場見通しにとってのリスクとして、インフレ的な金融政策が経済成長を後押しすることで、利回りが上昇する可能性があることを指摘。10年の期待インフレ率は12月に20bp上昇していることから、「米連邦準備理事会(FRB)の政策アプローチがインフレ期待に上昇圧力をかけるという目標を達成しつつあることが示唆される」との見方も示された。
それでも、米10年国債利回りは0.95%と依然低いままであることから、実質利回りをプラスに押し上げるには、10年債利回りが2%を超える必要があるとし、「それまでは、特にキャッシュ・リターンが加速するにつれて、株式資産は相対的な魅力を維持する」とした。