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J.フロント リテイリング(3086) 事業利益の回復は鈍いと見込むが、新「中計」での大胆・迅速な改革が上振れ要因に

QUICK企業価値研究所アナリスト 永田和子(2021/01/12)

・百貨店の売上回復ペースを一段と厳しく予想する一方、パルコの賃料引き下げ懸念は後退
 連結事業利益の企業価値研究所予想は業績表の通り。足元の感染拡大を受け、百貨店の売上回復ペースを一段と厳しく予想。富裕層向けは底堅いとみるが、家計防衛志向や郊外シフト、テレワーク定着などから中間層の百貨店離れは加速へ。更なるコスト削減ではカバーできないとみて、百貨店の損益予想を減額。一方、賃料引き下げ懸念が後退したパルコの損益予想は引き上げた。心斎橋の貢献もあり、パルコの損益回復が進む見通しだが、百貨店の回復が鈍く、23/2期の連結事業利益は一過性の要因除く前期実績の8掛け程度にとどまろう。

・心斎橋・渋谷モデルの横展開に合わせ組織・要員構造改革が具体的に盛り込まれるかに注目
 会社側は来期からの新「中計」で(1)経営構造改革、(2)リアルとデジタルの融合、(3)パルコとのシナジー創出に重点的に取り組む方針。当研究所予想には非反映だが、数々の改革実績を考えると、(1)は大胆・迅速に実行される可能性が高く、上振れ要因として期待。不採算事業・店舗の撤退やグループ事業の統合・集約に加え、大丸心斎橋店新本館、同北館、新生渋谷パルコで取り組んだ変革の迅速な横展開とそれに合わせた組織・要員構造改革が、どこまで具体的に新「中計」へ盛り込まれるか、要注目。

・リスクファクター ~コロナ影響の長期化など

・アナリストの投資判断 ~新「中計」発表まで上値は限定的と予想
 実績PBR0.6倍、配当利回り(今期会社計画)3.3%に割高感はないうえ、ESGへの積極的な取り組みに対する評価も高い。ただし、本年4月発表の新「中計」で利益の早期回復シナリオが示されるまでは、上値も限定的だろう。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

永田 和子

シニアアナリスト

小売セクター、ゲーム・アミューズメントセクター担当


【プロフィール】
早稲田大学第一文学部日本史学科卒業。東京証券(現東海東京証券)入社。入社直後から調査部門でアナリスト業務(小売、繊維・紙パルプ、食品、ゲーム)に就く。03年にQBR(現QUICK企業価値研究所)へ。企業調査歴30年。


日本証券アナリスト協会 ディスクロージャー研究会 小売専門部会、広告・メディア・ゲーム部会、新興市場部会 評価実施アナリスト


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