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信越化学工業(4063) 今期は小幅減益を見込むが、従来予想を上方修正

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2021/01/29)

・シンテックの業績が想定以上に回復
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高1兆4500億円→1兆4700億円(前期比5%減)、営業利益3800億円→3870億円(同5%減)へ小幅上方修正する。従来、今期は半導体シリコン部門が堅調に推移するものの、新型コロナウイルス感染症の流行による期前半を中心とした塩ビ・化成品部門やシリコーン部門の落ち込みにより、連結全体で減収、減益になるとみていた。見方に大きな変更はないが、足元で塩ビ樹脂の需要が増加し、米国子会社シンテックの業績が想定以上に回復しているため、予想を引き上げた。連結全体で足元の業績は回復基調となっており、22/3期以降は半導体シリコン部門などの伸びで増収、増益となろう。

・3Qまで減益だが、業績は回復基調
 21/3期3Q累計の連結営業利益は前年同期比11%減の2850億円。半導体シリコン部門が堅調に推移したが、塩ビ・化成品部門が苦戦し、連結全体で減益を強いられた。ただし、3Qは市況上昇などで利益水準が向上しており、期前半に落ち込んだ業績は回復基調にある。

・リスクファクター ~新型コロナ影響の深刻化など

・アナリストの投資判断 ~引き続き堅調な株価推移を予想
 20年春先に急落した株価はその後値を戻し、9月には急落前につけた上場来高値を更新。その後も世界的な半導体関連株の好調を追い風に、大幅な上昇をみせている。直近では当研究所の来期予想連結PERで約24倍と、電子材料メーカーの平均を上回るが、安定した業績推移を続ける同社に対する市場での評価は高く、割高感はない。来期以降、半導体シリコン部門の拡大に加え、塩ビ樹脂事業の回復も見込める点を考慮すると、過去の同社のレンジの上限にあたる同28倍程度までの上昇は可能だろう。短期的には利益確定売りに押される場面もあろうが、引き続き堅調な株価推移を予想する。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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