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日本ゼオン(4205) 業績予想を大幅に上方修正。今期は2桁増益に

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2021/02/01)

・エラストマー素材は従来予想を上回る利益を確保へ
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高2780億円→2970億円(前期比8%減)、営業利益190億円→290億円(同11%増)へ引き上げる。従来、高機能材料部門が堅調に推移する一方、新型コロナウイルス感染症流行に伴う需要減少と市況悪化でエラストマー素材部門が落ち込み、連結全体で減収、減益になるとみていた。しかし3Qは想定以上の需要回復などでエラストマー素材部門の業績が大きく改善。同部門は通期で減益だが、従来予想を上回る利益を確保できる見通しだ。高機能材料部門の好調持続もあり、連結全体でも大きく上方修正した。続く22/3期以降も合成ゴムや光学フィルムなどの数量増と合理化の効果で業績は拡大に向かおう。

・3Qまで若干の営業減益だが、足元では改善
 21/3期3Q累計の連結営業利益は前年同期比2%減の211億円。高機能材料部門が堅調に推移する一方、エラストマー素材部門が期前半の苦戦で落ち込んだ。ただし3Qは合成ゴムなどの需要回復と市況上昇により、連結全体で大幅な営業増益となっている。

・リスクファクター ~新型コロナの影響深刻化など

・アナリストの投資判断 ~割安感があり、引き続き堅調な株価推移を予想
 同社の株価は20年春先に急落後、一転して大きく上昇し、1月29日に公表された3Q決算を受けて一段高となった。直近では当研究所の来期予想連結PERで約14倍と、電子材料メーカーの平均である20倍と比較して割安感がある。同社のPERは通常、電子材料メーカーの平均を大きく下回るが、来期にかけて高機能材料、エラストマー素材の両部門とも増益が見込まれる点などを考慮すると、これを小幅下回る同17倍程度の評価は可能だろう。利益確定売りに押される局面も想定されるが、株価は引き続き堅調に推移すると予想する。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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