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三菱ケミカルホールディングス(4188) 足元の業績は回復基調で、今期予想を上方修正

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2021/02/08)

・コア営業利益の減益幅は従来予想よりも縮小
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益3兆1800億円→3兆2000億円(前期比11%減)、コア営業利益1380億円→1560億円(同20%減)へ引き上げる。今期は従来から、新型コロナウイルス感染症の流行による全般的な需要減少やMMAの採算悪化などで苦戦を想定。見方に大きな変更はないが、自動車生産台数の回復などで足元の需要が全般に上向いているほか、石化製品の市況も想定以上に上昇しているため、売上収益、各損益段階とも上方修正した。コア営業利益は通期で大幅減となるが、3Qは前年同期比で増益に転じており、4Qも増益基調が続く見通し。続く22/3期以降は需要の回復と市況安定で業績が改善に向かおう。

・期前半に苦戦したが、3Qは2桁のコア営業増益に
 21/3期3Q累計の連結コア営業利益は、前年同期比37%減の1136億円。期前半の需要低迷と採算悪化で大幅減益だったが、3Qだけをとると全般的な需要回復と石化製品の市況上昇で2桁増益となっている。

・リスクファクター ~新型コロナ影響の再拡大など

・アナリストの投資判断 ~一段の株価上昇には利益回復ペースの加速が求められる
 20年2月から3月にかけて急落した株価は、その後も株式市場全体が大きく上昇する中で低調に推移していたが、同11月上旬を底にして反転。21年に入ると一段と上げ足を速めている。直近では当研究所の来期予想連結PERで約12倍と、収益が低迷する昭和電工を除いた総合化学メーカーの平均並みの水準にあり、特段の割安感はない。足元では主要製品の需要が回復傾向にあり、業績も来期にかけて好転が見込めるため下値不安は小さいとみているが、PERで他社を上回る水準となるには、自動車分野などでの一段の需要拡大や、MMA市況の上昇などによる利益回復ペースの加速が必要であり、当面は現状程度の評価が続くと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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