QUICKのプロ向けコメントサービス「QUICK Market Eyes」が2月8~12日に配信した、株主優待の制度変更などを受けた株価の反応の記事をまとめました。(Money Worldの株主優待ページはコチラ)
日本KFC―小動き 記念配当・優待実施も、今期予想据え置き(更新日時:2021/02/12)
「ケンタッキーフライドチキン」などファストフードチェーンを展開する日本KFCホールディングス(9873、2部)が小動き。朝方は10日に発表した記念配当や記念優待の実施を手掛かりに買いが先行したものの、一段の上値は限定的。同日発表した2020年4~12月期の連結決算で21年3月期予想を据え置いたこともあり、上値を買い進む動きは限定的となったようだ。戻り売りに押され小安い水準で推移している。
21年3月期末に記念配当10円を実施し、普通配と合わせて期末配は35円となる見通し。前年同期は普通配のみ25円だった。記念優待は21年3月末と9月末に株主名簿に記載のある100株以上の株を保有する株主が対象で、通常の優待から商品券の金額を増額する。100株を3年未満保有する株主の場合は通常1000円分のところを2000円分、100株を3年以上継続保有する株主の場合は通常2000円が3000円に増額となる。
4~12月期の連結決算は、営業利益が前年同期比35%増の57億円だった。新型コロナウイルス感染症の拡大による巣ごもり需要を取り込んだ。通期予想に対する進捗は96%に達している。
※日本KFCホールディングスの株主優待
リブワーク―堅調 株式分割を発表、増資などで12億円調達(更新日時:2021/02/12)
ネットでの受注を特徴とする住宅施工のリブワーク(1431、マザーズ)が堅調。10日に3月末を基準日とした1株を2株にする株式分割と、実質的な株主優待の対象拡大を受け、買いが優勢の展開となっている。流動性向上への期待感につながったようだ。
優待は四半期末ごとに実施しており、6月末の優待のみ100株以上から対象となる。3月末、9月末、12月末の優待は1000株以上が対象だったが、分割実施後も基準となる保有株数の前提は変えないため、現在500株を保有する株主も株式分割後に株式を継続保有していた場合、優待対象に含まれることとなる。年間配当は実質的に従来予想通りの水準を維持した。
同日、新株発行と売り出しで約12億円(手取り概算の上限)調達すると発表した。財務体質の改善や人員拡充に充てる。新たに発行する株式はオーバーアロットメントによる追加売り出し分も含め最大で発行済み株式の7.4%に相当する81万5000株となる見通し。売り出しは既存株主が15万株を売り出す。足元は業績の拡大傾向が続いていることもあり、増資や売り出しによる希薄化や需給悪化リスクよりも資金調達による成長期待を評価する向きが多いようだ。
※リブワークの株主優待
ファルコHD―急落 優待廃止、4~12月期大幅増益も織り込み済み(更新日時:2021/02/10)
臨床検査受託のファルコホールディングス(4671)が急落。一時下落率は約9%に達し、東証1部の値下がり率ランキングで上位に入っている。9日に2020年4~12月期の連結決算の発表と併せて株主優待制度の廃止を発表しており、手じまい売りが膨らんでいる。
100株以上を保有する株主に一律でクオカード1000円を贈呈していた。21年3月期末を基準とした優待から廃止となる。公平な利益還元の観点から配当拡充がふさわしいと判断した。
同日発表した20年4~12月期の連結営業利益は前年同期比2.4倍の15億円だった。臨床検査数は新型コロナウイルス感染症の影響で減少したものの、コスト削減が寄与した。ただ、すでにファルコHDは1月に21年3月期の連結業績予想を上方修正し、株価も上値を切り上げていたため、決算発表をきっかけに利益確定売りが出た面もあるようだ。
リスクモンスター― 4%超の上昇 業績上方修正・増配・記念優待・株式分割など好材料相次ぐ(更新日時:2021/02/10 09:15)
- 4%超の上昇
- 今期業績予想および期末配当を引き上げ
- 記念優待や株式分割も発表
与信管理サービスのリスクモンスター(3768、2部)が急反発。今期業績予想および期末配当の引き上げ、記念優待や株式分割の実施などポジティブ材料が相次いだことが好感されたようだ。
リスクモンスターは9日、2021年3月期連結業績予想の上方修正を発表した。売上高は従来予想の32億5000万円から35億円、営業利益は5億2500万円から6億5000万円、純利益は3億1000万円から4億円に引き上げた。法人会員ビジネスの与信管理サービス事業、ビジネスポータルサイト事業、教育関連事業が順調に推移した。また、BPO(外部委託)サービス事業が反社チェックサービスの大型案件を受注したことなども寄与した。業績好調を踏まえて、期末一括配当を23円から28円(前期は年20円配)に引き上げた。
また、創立20周年記念株主優待として、9月末時点で300株以上を6カ月以上継続して保有する株主に対してクオカード3000円分を贈呈すると発表。さらに、3月末の株主を対象に1対2の株式分割を実施することも発表した。
エレコム― 小高い 3月末割当で1株を2株に株式分割(更新日時:2021/02/10)
エレコム(6750)が小高い。株式分割を発表しており、権利取りの動きから短期的な株価上昇が期待されるとして物色の矛先が向かったようだ。
エレコムは2021年3月31日時点の株主に対し、1株を2株に株式分割すると発表した。併せて21年3月期連結決算の通期業績予想の上方修正を発表した。純利益は前回予想を6億円上回る前期比8%増の105億円を見込むとした。テレワークの普及によりTV・AV関連機器の販売が伸びたほか、プロダクトミックスの改善で収益が向上した。全社的なコスト管理や販管費の抑制も寄与した。
21年3月期末の1株あたり配当金は前回予想から3円増額し36円とすると発表した。年間配当金は前期比8円増配の69円となる。併せて21年3月期末割当を最終として株主優待制度を廃止すると発表した。配当金による利益還元の実施がより適切であると判断したとした。
※エレコムの株主優待
名糖産業―大幅高 今期利益予想と配当予想を上方修正、優待増設も(更新日時:2021/02/08 11:29)
チョコレート菓子など食品を手掛ける名糖産業(2207)が大幅高。一時上昇率は7%に達した。5日に2021年3月期の連結営業損益が3億円の黒字(前期は6億2900万円の赤字)に拡大すると発表し、買いが集まっている。新型コロナウイルス感染症による巣ごもり傾向から食品の販売が伸びているほか、原価率の改善が進み従来予想を1億5000万円上回る。
業績上振れを反映し、21年3月期末の配当も20円から24円に増額する。前期は22円だった。
同日、株主優待制度の変更も発表した。これまで年1回、9月末を基準日に優待を実施していたが、新たに3月末を基準日に加える。ただし3月末基準日の贈呈対象となるのは200株以上を保有する株主に限る。
※名糖産業の株主優待
<金融用語>
株主優待とは
株主優待とは、株主に対し、株主還元策の一環として、持ち株数に応じて自社製品や優待券、回数券などを無料で配布する制度。株主優待を受け取るには、「権利確定日」に株主である必要がある。