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帝人(3401) 営業利益を増額する一方、純損益は減損損失発生を織り込んで赤字に

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2021/02/12)

・自動車分野の需要は想定以上に回復
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高8000億円→8200億円(前期比4%減)、営業利益540億円→560億円(同微減)、純損益275億円の黒字→90億円の赤字(前期は253億円の黒字)へ修正する。新型コロナウイルス感染症の流行に伴う需要減少でマテリアル部門が落ち込む一方、繊維・製品部門などが拡大し、連結全体で小幅減収、営業減益となる見込み。自動車分野の想定以上の需要回復で売上高、営業利益は小幅増額したが、航空機向け炭素繊維の需要減退が厳しく、4Qに減損損失が発生する見込みとなったため、純損益は赤字転落見通しとした。続く22/3期以降は新型コロナ影響の収束で業績は回復に向かうが、航空機向け炭素繊維の低迷長期化などにより、増益幅は小幅にとどまりそうだ。

・自動車分野の需要減少で3Qまで減益に
 21/3期3Q累計の連結営業利益は、前年同期比6%減の452億円。足元の業績は回復基調だが、期前半の自動車分野などでの需要低迷が厳しく、減益を強いられた。

・リスクファクター ~新型コロナ影響の再拡大など

・アナリストの投資判断 ~来期以降の増益幅が小さく、短期的な上値は限られる見込み
 20年2月から3月にかけて急落した株価は、市場全体が大きく上昇する中でも低調に推移していたが、同11月上旬に底打ちし、年末にかけて上昇。その後はもみ合いとなっている。直近では当研究所の来期予想連結PERで約12倍と、同社の過去の平均的な水準である14倍を下回り、割高感はない。ただし、今期の業績が医療用ガウンの寄与で底堅く推移する一方、航空機用炭素繊維市場の低迷などにより、来期以降の利益回復は他社と比較して小幅にとどまる公算が大きい。このため、当面は現状程度の評価が妥当であり、下値不安は小さいものの、短期的に大幅な上昇も難しいと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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