QUICK企業価値研究所アナリスト 山藤秀明(2022/02/01)
・料金値下げで中期営業利益は高水準横ばいか
22/3期3Q累計の営業利益は8746億円で前年同期比0.4%増と微増益だった。低料金プラン導入の影響や減価償却費の増加を法人向け事業の拡大で吸収した。
企業価値研究所は22/3期の営業利益について前期比1%増の1兆430億円とした従来予想を据え置く。携帯電話の料金値下げによる顧客単価の低下が進むが、引き続きライフデザイン領域、そして法人向け事業の拡大で通期では小幅増益を予想する。
来23/3期も同様の事業環境が続くとみており、営業利益は前期比3%増の1兆700億円の予想。個人、法人の両分野で非通信事業の成長は期待できる。一方で携帯電話事業の料金値下げの影響が順次強まり、連結全体の営業利益は最高益水準ながらも踊り場状態になろう。
・自己株式取得枠拡大。今期は20期連続の増配計画
3Q決算発表にあわせて昨年5月に公表した1500億円規模の自己株式取得計画を2000億円規模に増額した。また、今期の1株当たり年間配当金は前期比5円増配の125円で20期連続の増配計画。
・リスクファクター ~料金値下げ、解約率上昇
・アナリストの投資判断 ~株価指標に割安感なく「現値水準で推移」との判断継続
20年秋以降、株価は上げ足を速めて21年9月には上場来高値(3899円)を付けた。新型コロナ禍での業績の安定性、そして増配や自己株式取得による積極的な株主還元が評価されたようだ。もっともTOPIXとの相対株価は昨年秋以降を含めて長期的に横ばいで推移している。携帯電話市場の成熟化、料金競争などの構造的要因から継続的に株式相場を超過する上昇は期待し難いようだ。足元の株価も上場来高値更新後は軟調な展開。主要株価指標も過去5年平均水準であり割安感はない。「当面は現値水準での推移を見込む」との判断を継続する。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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