【QUICK Money World 辰巳 華世】新型コロナウイルス感染拡大の影響で、わたしたちの生活は大きく変わりました。ワクチン接種の広がりもあり、世界は経済再開の動きに向かっています。今後「ウィズコロナ」そして「アフターコロナ」の生活に向かう中、今回はアフターコロナ関連の銘柄が注目される理由、アフターコロナにおける生活・仕事の変化とは、アフターコロナ関連の銘柄とは、アフターコロナ関連の注目銘柄について紹介します。
アフターコロナ関連の銘柄が注目される理由
2020年3月に始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な流行から約2年が経過しました。いまだ収束は見えないものの、ワクチンの接種の広がりもあり世界各地で経済活動は再開に向かい始めています。
経済正常化に向けてワクチン接種で先行した米国では、景気の本格回復の兆しがあります。コロナ禍で一時14.7%と1930年代の大恐慌以降で最悪の水準に達した失業率は、仕事に復帰する人が増えたことで、2022年4月には3.6%にまで下がっています。
日本でも、減少ペースは緩やかですが第6波による新型コロナの新規感染者数がピークをつけたことで、行動制限を緩和し、感染リスクを抑えながら経済活動を再開する動き「ウィズコロナ」の生活を模索する動きも出てきました。政府は国内旅行の需要喚起策「Go Toトラベル」の再開時期を探っているとの報道もあります。
世界各地で経済活動の再開に向かっていることで、「ウィズコロナ」そして「アフターコロナ」に向けた新しい生活に注目が集まっています。
アフターコロナにおける生活・仕事の変化とは
コロナ禍での生活は、わたしたちの生活を一変させました。働き方で見れば、これまで出社することが当たり前でしたが、コロナを境に在宅ワークといった働き方が一気に広がりました。新型コロナ感染拡大を抑えるため「ステイホーム」をする機会が多く、家で過ごす時間や家族と過ごす時間が大幅に増えました。
衛生面では、手洗いうがいが習慣化され、マスク着用や三密を避ける行動も身に付きました。また、緊急事態宣言の発令などで思う様に買い物に行けない時間を経験したことで、食料品や日用品を備蓄する傾向も増えました。
「ウィズコロナ」そして「アフターコロナ」を迎えても、新しい生活様式を続けたいという考え方は強いです。オンラインコミュニティ「UXD KURASHI LAB.」が新型コロナに対する不安がなくなったらどんな生活を期待するかを探る消費者意識調査をWebで実施(2021年6月)したところ、1120の回答数のうち半数以上が家族と過ごす時間は維持したいとしました。また、89%の人がステイホームの時間の中、読書やゲーム、料理など新しいことに挑戦したことが分かりました。また、花王が2021年2~3月に男女3611人に実施したインターネット調査によると、「アフターコロナ」生活では「親しい人と三密を気にしない交流」をしたいとの思いが強く、旅行や外食、イベントなどを思い切り楽しみたいとの声が多かったそうです。
アフターコロナ関連の銘柄とは
経済活動を再開する動き「ウィズコロナ」そして「アフターコロナ」に向かっていく中で、注目される関連銘柄について見てみましょう。コロナ禍でわたしたちの生活様式は大きく変わりました。ここでは三段階に分けて関連銘柄を見ていきたいと思います。
まず第一段階としてコロナ禍の中で既に始まっている動きに関する関連銘柄です。テレワークの普及やビジネスを展開する上でも情報技術で事業モデルなどの変革を促すデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速しています。DX化の取り組みや、取り組みをサポートする企業は関連銘柄です。富士通(6702)、日立製作所(6501)など多くの企業があります。野村総合研究所(4307)、NESIC(1973)、フロンテオ(2158)なども挙げられます。
コロナ禍で需要が増したフードデリバリー、テイクアウト事業などのサービスと関連する銘柄にも期待が高まります。出前館(2484)などがあります。フードデリバリーやテイクアウト事業では、惣菜店「RF1」を展開するロック・フィールド(2910)、寿司の「銀のさら」や釜飯の「釜寅」を展開するライドオンエクスプレスホールディングス(6082)などもあります。
また、ウイズコロナやアフターコロナ生活で需要が急回復すると考えられる企業も注目です。行動制限が緩和されることで、人との交流で飲食や旅行などの需要の回復が期待できます。外出することでお化粧や衣類などお洒落を楽しむ機会が増えることも予想されます。ベルトラ(7048)、エイチ・アイ・エス(9603)、ユーラシア旅行(9376)、旅工房(6548)など旅行関連、日本航空(9201)、ANAホールディングス(9202)など航空関連、ポーラ・オルビスホールディングス(4927)、資生堂(4911)など化粧品関連の銘柄が考えられます。幅広い銘柄に期待が集まります。
これらの関連銘柄は行動制限解除の高まりから今後も注目を集めそうです。
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インフレ関連もアフターコロナの注目銘柄
第二段階として、アフターコロナの世界で物価上昇に影響を受ける関連銘柄です。米国では足元で物価上昇を示す経済指標の発表が相次いでおり物価が上昇しています。原油など資源価格の上昇が世界的なインフレ圧力を高めています。この様な環境下、インフレ耐性がある企業が気になるところです。三菱商事(8058)、ENEOSホールディングス(5020)などエネルギー関連や三菱ケミカルHD(4188)など素材関連、日本製鉄(5401)、東京製鉄(5423)など鉄鋼関連、日本郵船(9101)など市況関連などです。
経済活動の本格的再開に伴い、半導体不足の状態が続いています。あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」、高速通信規格の「5G」など先端分野からわたしたちが日常的に使う製品まで半導体はなくてはならない物です。今後も市場拡大が続くうえ、絶対的に必要な物で売り手有利な状況の中、価格転嫁しやすいという面でも今後も引き続き注目されます。半導体関連銘柄では、東京エレクトロン(8035)、ディスコ(6164)、アドバンテスト(6857)などがあります。
第三段階として、インフレが進んだ世界で注目される関連銘柄です。三井不動産(8801)など不動産関連銘柄や安田倉庫(9324)など倉庫関連銘柄などがあります。インフレに伴い、土地や不動産の価格が上昇します。倉庫や土地などを多く保有する企業も土地の含み益などが膨らむことが考えられます。また、REIT銘柄も注目したい分野です。三菱倉庫(9301)、安田倉庫(9324)、住友倉庫(9303)などがあります。不動産関連銘柄では、東急不動産ホールディングス(3289)、イオンモール(8905)などもあります
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まとめ
アフターコロナ関連の銘柄は生活や仕事様式の変化に関係する企業や、アフターコロナで需要が回復するであろう企業が注目される傾向にあります。また、インフレ耐性がある銘柄も気になるところです。今後もコロナ関連の動きに注目していきましょう。
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