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先物取引とはどのような取引?メリットとリスクについて解説

記事公開日 2022/8/16 18:00 最終更新日 2022/8/16 18:00 経済・ビジネス コラム・インタビュー 市場用語再点検 金融コラム

【QUICK Money World 辰巳 華世】株式投資には、個別株式など現物取引の他に、先物取引があります。先物取引は少ない資金で大きな取引ができることもあり、一儲けしたいと思う投資家にとって魅力的な商品の一つです。今回はそんな先物取引の基本的な説明や特徴、メリットやデメリット、気をつけたいリスクについて紹介します。

先物取引の特徴

先物取引は、将来の売買を、現時点で決めた価格で行うことを約束する取引です。証拠金と呼ばれるお金を担保として差し入れて、証拠金以上の大きな額で取引ができる特徴があります。また、先物取引は、反対売買をすることで決済を行う差金決済が原則です。ただ、商品先物では現物を渡して決済する方法もあります。

先物取引は、大きく分けて「商品先物」「金融先物」の2種類があります。商品先物とは、原油、金、貴金属、トウモロコシなどの農作物といった商品を対象とした先物です。

一方、金融先物は、株式や債券など金融商品を対象とした取引です。

4種類の金融先物があります。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの株式指数先物取引、中期国債や長期国債などの債券先物取引、外国通貨を対象とした通貨先物取引、金利を対象とした金利先物取引です。

先物取引は、大阪取引所と東京商品取引所で取引されています。大阪取引所で取引されている商品の方が多く、日経平均先物や債券先物など金融先物はすべて大阪取引所で取引されています。一方、原油などのエネルギーは東京商品取引所です。

ここからは金融先物を例に先物取引の仕組みを見ていきましょう。

 

先物取引の仕組み

★ポイント★

・取引期間が決まっている
 ・差金決済である
 ・証拠金が必要である
 ・「売り」から入ることもできる
 ・期間中の反対売買か満期で自動決済となる

株式指数先物取引では、取引できる期間が決まっています。この満期月を「限月」と言います。日経平均株価を原資産とした日経平均先物取引では、3月、6月、9月、12月が限月です。期間内であればいつでも取引できますが、満期がくれば自動的に決済されます。決済方法は、差金決済で売買によって生じた差額のみの受け渡しをします。証拠金と呼ばれる担保を差し入れて、レバレッジを効かせた自分の資金より大きな取引ができます。

日経平均先物取引の取引単位は、日経平均を1000倍した金額が最低取引単位(1枚)となります。ちなみに日経平均先物取引には「ラージ」と「ミニ」の2種類があり、ラージが日経平均を1000倍に、ミニは100倍にした金額が最低取引単位です。一般的に日経平均先物と言った場合にはラージを指します。

例えば、2万8000円で日経平均先物を1枚買ったとします。先物取引は、成立した時点では契約のみで金銭の受け渡しはありません。

その後、期間中に2万8500円に値上がりしたので、反対売買で決済しました。手数料や税金などは割愛しますが、購入価格より高くなった場合は、その差額が利益になります。

(2万8500円−2万8000円)×1000×1枚=50万円 (50万円の利益)

一方、2万7500円に値下がりして反対売買した場合は、購入価格との差額が損失になります。

(2万7500円−2万8000円)×1000×1枚=−50万円 (50万円の損失)

取引最終日までに反対売買をしなかった場合は、満期日に特別精算指数(SQ値)で自動的に決済されます。損益の考え方は反対売買と同じです。

先物取引では、相場が上昇すると思った時は「買い」から、相場が下落すると思った時は「売り」から始められます。「売り」から入った場合、相場が想定通り下落すれば「買い戻す」ことで利益を得ることができます。逆に相場が予想に反して上昇した場合は、損失が発生します。

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先物取引のメリット

先物取引のメリットについて見ていきましょう。

小額の資金から取引ができる

先物取引はレバレッジを効かせた取引が可能です。証拠金を差し入れて、証拠金の数倍〜20倍という大きな取引が可能です。先ほど説明した様に、日経平均先物の場合、日経平均を1000倍した金額が最低取引単位(1枚)です。値段が2万8000円の場合、先物1枚当たりの約定代金は2800万円となりますが、1枚当たりに要求される証拠金はずっと少額になります。1枚当たりの証拠金は、証券会社によって異なるので確認が必要です。

銘柄選択が必要ない

金融先物は、株価指数など指数が対象なので個別銘柄の分析・選別をする必要はありません。「先物」の取引ができる商品は決まっているので、限られた中から選ぶことになります。

売り買いどちらからでも取引できる

先物取引では、売りから入ることも買いから入ることも可能です。相場が上昇している時だけでなく、下落する局面でも利益をあげることが可能になります。

短期間で利益を生み出すことができる

先物取引は期間が決められており、期限内に決済をする必要があります。特に価格変動の振り幅が大きいガソリンや原油など商品先物では、わずかな期間で大きな利益を得やすいです。

前もって売買の価格を決めておける

前もって売買の価格を決めておくことで、価格変動リスクを回避することができます。生産者や実需家など投機目的ではなく最終的な受け渡しを目的とした取引など商品先物の売買で大きなメリットになります。

 

先物取引で気をつけたいリスク

損失が大きく膨らむ可能性がある

先物取引は、少額の証拠金で大きな取引を行えるメリットがあります。利益も大きくなりますが、一方で、想定外の多額の損失を被ることもあります。自分の想定とは違った方向に相場が動いた場合、大きな損失に繋がりますので注意が必要です。

追加の証拠金を差し入れる場合がある

取引期間中に想定とは異なる方向に相場が動いた場合、証拠金の引き上げや代用有価証券の制限等の規制措置が発動し、追加の証拠金を差し入れる必要があります。ぎりぎりの手持ち資金で取引をしていると、思わぬ証拠金差し入れに対応できないこともあるので、余裕をもった取引をしましょう。

元本及び利益が保証されない

株式の取引などと同様、先物取引も値動きがある取引であり元本や利益が保証された商品ではありません。

長期間保有ができない

先物取引には期日があるので、長期間保有することができません。期日までに反対売買しなくても、満期日に自動決済されてしまいます。

初心者が先物取引を始めるときのポイント

先物取引は、ハイリスク・ハイリターンの取引と言われています。証拠金を差し入れて、大きな額の取引をすることが可能です。相場が想定した通りに動き利益が出た時は大きな利益になりますが、想定とは違った動きとなった場合、損失も大きくなります。金融先物にしても商品先物にしても、想定以上のスピードで価格が変動することもあります。そのため初心者が先物取引を始める時はより一層の注意が必要です。

証券会社などで先物取引の口座を開設する際、基本的には通常の株式口座だけでなくデリバティブ用の口座を開く必要があり、一定以上の投資経験や知識などが求められます。なので、初心者の状態からよりは、ある程度の投資経験を積んでから先物取引を開始するのが良いでしょう。また、始める時には少額から、あまり大きなレバレッジをかけずに始めてみることも大切です。

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まとめ

先物取引とは、将来の売買についてあらかじめ現時点で約束をする取引のことです。レバレッジを効かせた取引ができ大きな利益が得られる反面、損失が大きく膨らむ可能性もあります。始めるときは、少額から始めてみましょう。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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