【NQNロンドン=菊池亜矢】スウェーデンの熱交換器世界大手アルファ・ラバルの株価が昨年来高値に近づいている。ストックホルム市場で3月31日に370.50スウェーデンクローナまで上昇し、2022年1月7日以来ほぼ1年3カ月ぶりの高値を付けた。4月3日の終値は367.80クローナと22年末比2割高となった。世界的な温暖化ガス削減の流れが強まるなか、効率の高い製品を提供する同社の成長期待が株価を押し上げている。
アルファ・ラバルはエネルギーや船舶、食品など幅広い産業向けに、熱交換器や分離装置、液体処理装置を提供する。高効率でエネルギー消費量の少ない熱交換器は、加熱や冷却、適切な温度保持、排熱を回収して別の用途に利用するなど、多様な産業プロセスで使う。同社によると、世界の50%以上の船舶が、廃油や船底にたまっている不要な液体を処理するために同社の分離装置を利用しているという。
22年には再生可能エネルギー分野を強化するため、食用油とバイオ燃料処理を手掛けるベルギーのデスメット社を買収した。22年12月期通期のアルファ・ラバルの決算は、売上高が前の期比27%増の521億3500万クローナ、営業利益に近い調整後EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)は16%増の82億2900万クローナだった。顧客からの継続的な需要を背景に、エネルギー、食品・水、船舶の主要3部門すべてが好調だった。
22年通年の受注額は586億4500万クローナと前の年から28%増えた。トム・エリクソン社長兼最高経営責任者(CEO)は「エネルギー転換に関連する成長は生産能力を上回っており、需要は今後数年間、堅調に推移すると見込んでいる」とコメントした。
英HSBCは「欧州大陸や先進国の規制により、新築ビルで化石燃料ボイラーに代わるクリーンエネルギー機器が求められており、同社の熱交換器は脱炭素化の最前線にある」と指摘。ヒートポンプはボイラーに比べ熱効率が高く、暖房機器や空調などの堅調な需要が同社のエネルギー部門の成長につながると見込む。