【NQNロンドン=菊池亜矢】化粧品世界大手の仏ロレアル株が堅調だ。4月12日の終値は412.15ユーロと2022年末比で24%高となった。上昇率は、連日で過去最高値を更新したフランスの主要株価指数CAC40の14%を上回る。新型コロナウイルス禍からの回復が続くなか、人気の化粧品ブランドの大型買収でさらなる成長を期待した買いが集まっている。
※ロレアル株価とCAC40の相対チャート。(2022年末を100として指数化)
ロレアルは今月初め、オーストラリアの高級化粧品ブランド「イソップ」をブラジルの化粧品会社ナチュラ・グループから買収すると発表した。イソップの企業価値を25億2500万ドルと算定。欧米メディアによると、ロレアルとしては過去最大規模の買収だという。規制当局の承認を得て23年7~9月期に取引を完了する見通しだ。
イソップはシンプルなデザインの容器、独創的な内装の店舗でも知られる。化粧品の原材料には植物由来成分を使い、持続可能性を重視したビーガン処方の商品を展開。若い世代を中心に支持が広がり「オーストラリアでカルト的な人気を誇っている」(英金融サービスのハーグリーブス・ランズダウン)という。ナチュラによると、イソップの売上高は12年の2800万ドルから22年には5億3700万ドルと、10年で19倍に増えた。22年には中国本土にも店舗を開き、フレグランス部門を大幅に拡充した。
ロレアルは傘下に「ランコム」や「ヘレナルビンスタイン」、「メイベリンニューヨーク」など幅広いブランドを擁する。22年12月期通期決算は、事業構造や為替影響を一定とした同一基準ベースで、売上高が前の期比11%増の382億6060万ユーロ、純利益は23%増の60億5410万ユーロだった。全ての事業部門と地域で売り上げが伸びたが、特にスキンケア製品や日焼け止め製品が好調で「アクティブコスメティックス事業」が成長をけん引した。
ロレアルはこれまでは比較的規模の小さいブランドを買収してきたが、「今回は久しぶりの大型買収で、経営陣が新ブランドに強い信頼を寄せていることを示している」(ハーグリーブス・ランズダウン)との見方がある。QUICK・ファクトセットによると、ロレアルの予想PER(株価収益率)は34倍台と過去5年平均(33倍台)と同程度で割高感はない。「M&A(合併・買収)で成長を加速させてきた強力な実績を持っている」(欧州系銀行)との声もあり、21年12月に付けた最高値の433.65ユーロをうかがう展開も想定される。