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2023年話題の総合商社株に注目!特徴や注目される理由を解説、関連銘柄も紹介

市場用語再点検!総合商社株

【QUICK Money World 辰巳 華世】総合商社が注目を集めています。総合商社は2023年の株式相場の主役です。きっかけは、米投資家のウォーレン・バフェット氏の総合商社買い。皆さんも新聞やニュースなどでこの名前を聞いたことがあると思います。もともと商社株は配当利回りが高めなこともあり個人投資家に人気がある銘柄ですが、ここにきて多くの投資家から一段と熱い視線が注がれています。今回はそんな総合商社株について、総合商社とは何かから、総合商社が注目される理由、商社関連銘柄や総合商社の今後の見通しについて紹介します。

■総合商社株とは?

総合商社とは、トレーディングと事業投資の2つのビジネスを展開する会社です。総合商社が取り扱う商品は、俗に「カップラーメンからロケットまで」と表現されることがある様に、幅広い商品を扱うビジネスを展開しています。

扱う商品は幅広く、トレーディング事業はそれらを販売したり、仲介を行い手数料を稼ぐ伝統的なビジネスです。一方、事業投資では、継続保有を前提に企業や事業に投資をし、一緒にビジネスをして利益を得ています。どちらの事業でもこれまでの国内外のネットワークを活用しています。

総合商社の中でも特に大きな5社を5大商社と呼びます。伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三井物産(8031)、住友商事(8053)、三菱商事(8058)の5社です。

5大商社の魅力の一つは、株主還元が積極的なことです。この5大商社は、配当利回りが高い銘柄も多いので個人投資家から人気です。

5大商社株は、特に2023年に入り大きな注目を集めています。きっかけは、米著名投資家で「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏の総合商社株の買い増しです。

バフェット氏は2020年に5大商社株に投資し話題となりましたが、23年4月に来日し、総合商社5社のトップと会談したことに加え、5大商社株の保有比率を7.4%まで引き上げたことを明らかにしました。その後も総合商社株への投資に対し前向きで買い増しをしています。総合商社株は、テーマ株としてその流れに追随する形で株価が上昇しています。

 

■総合商社株が注目される理由

総合商社株が23年の相場の主役となったきっかけは、ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイが5大商社株を買い増していることが明らかになったことです。

バフェット氏が5大商社の株を約5%ずつ保有していることが最初に明らかになったのは20年8月です。その後も買い増し、23年4月には7.4%まで引き上げたことが明らかになりました。

バフェット氏と副会長のグレッグ・アベル氏は「最終的には5社それぞれ9.9%の株式を保有したいと考えている」との方針を示す中、6月には日本の5大商社株を平均8.5%以上(金庫株を除くベース)保有していることが分かり話題となりました。

著名投資家のバフェット氏が注目する総合商社の魅力の一つは、積極的な株主還元策です。商社株は全体的に配当利回りが高めです。例えば住友商事(8053)の23年7月12日の配当利回りは4.09%でした。下の表は、5大総合商社の株主還元策の一覧です。

  株主還元策
伊藤忠商事
(8001)
・2024年3月期までの中期経営計画期間は累進配当
・2024年3月期までに配当性向30%を目標
丸紅
(8002)
・2025年3月期までの中期経営計画期間は年間下限配当1株78円で設定
配当性向30〜35%程度を目安
三井物産
(8031)
・2023年3月期までの中期経営計画期間の基礎営業キャッシュフロー累計に対して総還元性向33%を目標
住友商事
(8053)
・2023年3月期からDOE(株主資本配当率)3.5%〜4.5%の範囲で配当性向30%を目安
三菱商事
(8058)
・2025年3月期までの中期経営計画期間は累進配当を継続する
総還元性向は30〜40%程度を目指す

また、総合商社の業績も好調です。総合商社の業績ではエネルギー・資源価格の高騰が追い風になっています。21年以降の資源価格が高騰していることが影響しています。商社の収益において、エネルギー・資源価格は大きなシェアを占めていることもあり、資源価格の高騰は業績にプラスとなります。

円安が進行する中で、外国株に比べると日本株が割安な環境が続いています。商社株はこれまで業績の割に割安な面もありました。ただ、23年に入りバフェット氏の保有に追随する形で商社株に買いが入り、1月4日終値が4214円だった三菱商事(8058)は、6月に一時7455円と年初から約1.8倍に株価が上昇しています。

商社株は景気動向の影響を受けやすいです。エネルギー・資源事業の比率が高いこともあり、エネルギー価格などの影響を大きく受けます。また、海外との取引もさかんなので、為替の影響も受けやすいです。景気が良い時は、業績が大きく伸びますが、景気が悪くなると業績も大きく影響を受ける傾向があります。

5大商社の日足株価チャート(2023年1月4日〜)

【伊藤忠商事】

伊藤忠商事の株価

【丸紅】

丸紅の株価

【三井物産】

三井物産の株価

【住友商事】

住友商事

【三菱商事】

三菱商事

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■総合商社の関連銘柄とは?

商社株には、総合商社株の他に、専門商社株があります。総合商社株には、これまで紹介した5大商社である伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三井物産(8031)、住友商事(8053)、三菱商事(8058)のほかに、豊田通商(8015)、双日(2768)、兼松(8020)があります。

専門商社関連銘柄には、医薬品卸最大手のメディパルホールディングス(HD、7459)、医薬品卸大手のアルフレッサホールディングス(HD、2784)、阪和興業、 医薬品卸大手のスズケン(9987)、医薬品卸売業大手の東邦ホールディングス(8129)、食品系の三菱食品(7451)、加藤産業(9869)、伊藤忠食品(2692)、日用品卸のPALTAC(8283)、あらた(2733)、半導体商社のマクニカホールディングス(3132)、トーメンデバイス(2737)、加賀電子(8154)があります。

【総合商社、専門商社の関連銘柄】

総合商社   伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三井物産(8031)、住友商事(8053)、三菱商事(8058)、豊田通商(8015)、双日(2768)、兼松(8020)
専門商社 医薬品系 メディパルHD(7459)、アルフレッサHD(2784)、スズケン(9987)、東邦HD(8129)
食品系 三菱食品(7451)、加藤産業(9869)、伊藤忠食品(2692)
半導体系 マクニカHD(3132)、トーメンデバイス(2737)、加賀電子(8154)
日用品系 PALTAC(8283)、あらた(2733)、スズケン(9987)

■総合商社株の今後の見通し

総合商社はすでに成熟している企業なので、将来の大幅な成長を見込んだ投資よりは、緩やかな業績向上や株主還元に期待して投資する投資家が多い傾向があります。景気動向により株価が左右されやすいので、他の業種に比べて割安に放置されやすいという特徴があります。

2023年に入りバフェット氏の「お墨付き」を得たことで株価が大きく上昇した総合商社ですが、今後はバフェット効果なしで一段の株価上昇がのぞめるかが注目されます。

総合商社の収益はエネルギー・資源事業の比率が高いこともあり、エネルギー価格などの影響を大きく受けやすいです。また、海外とのビジネスも多く為替の影響も受けます。足元では資源価格の高騰や円安が業績に追い風となっていますが、為替が円高になったり資源価格の下落は、業績に影響が出て株価下落に繋がる可能性があります。

エネルギー事業で大きな収益を上げる総合商社ですが、一方で、脱炭素関連の水素や風力発電事業なども展開しており今後はその分野の成長も期待されます。増収増益が続けば、引き続き積極的な株主還元策も期待できます。

 

■まとめ

2023年上半期の株式相場をけん引した総合商社。もともと配当利回りが高いこともあり個人投資家に人気がありましたが、バフェット氏のお墨付きで一段と注目が集まっています。総合商社の業績は資源価格や為替の影響を受けやすく、景気に左右されやすい傾向があります。今後の業績見通しや株主還元策に注目が集まります。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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