【QUICK Market Eyes 中山 桂一】個人投資家の間で岸田政権は未だに不人気のようだ。マーケット・経済専門チャンネルの日経CNBCがまとめた8月の投資家サーベイで、岸田政権を指示しますか?という問いに74.2%が「いいえ」と回答した。同様の前回調査から支持しないという比率はやや減ったものの、一般的な世論調査に比べて個人投資家の間では岸田政権の支持率が低い状況が浮き彫りとなった。
今回の日経CNBCの調査は3~7日に実施した。支持すると回答したのは全体の16.5%にとどまり、「分からない・どちらでもない」は9.2%だった。
※22年1月調査 https://www.nikkei-cnbc.co.jp/information/1914355
23年8月調査 https://www.nikkei-cnbc.co.jp/information/2456908
日経CNBCが前回、同様の調査をしたのは2022年1月末。岸田文雄首相が掲げた金融所得課税の強化などに批判的な意見が集中し、不支持の比率は95.7%、支持するはわずか3.0%と多くの個人投資家が政権にNOとの意見を出していた。投資家の関心が高まった結果、前回は通常の20倍の回答が集まり集計システムの上限を超える事態にも発展していた。
今回のサーベイの回答者は20代から80代までの現役の投資家357人と前回と比べると少なかったが、「普段よりやや回答者は多かった」(日経CNBC)という。
調査数の差はあれど、一般的な世論調査よりも個人投資家が「不支持」とする割合は多い。日本経済新聞とテレビ東京が7月(28~30日)に実施した世論調査で、岸田内閣の支持率は40%、「支持しない」は51%だった。
今回の日経CNBCの調査結果では岸田首相が提唱する「新しい資本主義」や「増税」、「成長政策」という側面から批判的な意見が出ていた。例えば、「政策を支持できない。『新しい資本主義』とは何か?」(ペンネーム、しろくまさん)といった声や「就任当初によく耳にした『成長と分配の好循環』のうち、成長面の政策が分かりにくい」(MOTSU(もつ)さん)といった指摘だ。足元で増税路線が見え隠れするという意見もあった。
支持するという回答者の意見には「(2024年に始まる新しい)少額投資非課税制度(NISA)の金融改革、防衛予算成立」(65~69歳・男性)と実績を評価する声もあった。一方、「他に有力な候補者がいない、難局の中では大過ない運営をしていると思う」(大阪のとんちゃん)といった消極的な評価もあった。
日経CNBC調査は一般的な世論調査とは方法が違う。同社のホームページにアクセスできれば誰でも参加できる仕組みで、回答者層の偏りが大きい点は留意すべきだ。それでも首相就任から日経平均株価が歴史的な水準まで上昇しても個人投資家の間で政権に対する不満はくすぶっていると言える。少数意見とも言われる可能性もあるが、個人投資家の声は岸田首相の耳に届くだろうか。