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権利落ち日とは?投資初心者でも配当・株主優待を楽しむ方法

市場用語再点検!権利落ち日

【QUICK Money World 辰巳 華世】株式市場の解説で時々、「権利落ち日」という言葉を目にすることがあると思います。この権利落ち日、実は株式投資家は意識すべき大切な日だったりします。今回はそんな「権利落ち日」について基本的な意味や、その重要性や注意点について紹介します。

■権利落ち日とは

権利落ち日とは、配当や株主優待、株式分割といった株式を保有する株主が権利を取得できる最終取引日の翌営業日(翌日)のことです。権利落ち日の個別銘柄の株価は、理論上は1株あたり配当金の分だけ値下がりします。もっとも、株価変動要因は配当金だけではありませんので、必ず理論通りに株価が下落するわけではありません。配当金や株主優待などを受ける権利はすでに確定してしまっているため、権利落ち日にその株を買い付けても、その年の株主の権利を取得することはできません。

権利落ち日を理解するためには、株主の権利を取得する仕組みやタイムスケジュールを知る必要があります。

まず、一連の流れを理解するために知らなければならない用語を紹介します。「権利落ち日」の他に、「権利確定日」、「権利付最終日」の言葉を知って下さい。

株主の権利である配当や株主優待を受け取るには、企業が定めている「権利確定日」に株主として株主名簿に掲載されている必要があります。権利確定日は、年1回だったり2回だったり企業によって様々です。

「権利確定日」に株主として記録されるためには、その日に株式を取得しても記録されないので注意が必要です。権利確定日より2営業日前に株式を取得しておく必要があります。その日が「権利付最終日」となります。

株主の権利を得るための大切なポイントは、「権利付最終日」の大引けまでに株式を取得し保有している人がその年の「権利確定日」に株主として記録されることです。権利付最終日の翌日が権利落ち日です。

具体的な日付で説明すると、3月末日を決算期日とする企業の中間期末にあたる2023年9月30日は土曜日だったため、29日(金)が実質的な権利確定日でした。権利付最終日は9月27日(水)、権利落ち日は28日(木)となりました。

■権利落ち日の重要性

株主権利の確定

株主の権利を確定するには、権利付最終日の大引けまでに株式を取得し保有している必要があります。そうすると2営業日後の権利確定日に株主として記録されます。配当や株主優待などを受け取る判断基準は、権利確定日時点で株主名簿に記録されているかどうかです。逆に言えば、権利確定日だけ株主でも権利は認められます。

権利落ち日は株価が下がりやすい

株式投資をする目的の一つに配当や株主優待狙いがあります。権利付最終日近辺では、配当や株主優待狙いの投資家の買いを集めて株価が上昇する傾向があります。

先ほど説明したように、配当や株主優待は、権利確定日だけ1日株主であっても受け取ることができます。たった1日の株主でも配当などを受け取れるので、権利付最終日が近づくと、配当狙いで配当金が多い銘柄などが人気を集めます。

そして、配当金や株主優待目当ての投資家が権利を確定させた翌日の権利落ち日に株式の売りを出しやすいため、権利落ち日は株価が下がる傾向があります。権利付最終日までに株を買い、翌日の権利落ち日にその株を売却しても、権利確定日にその投資家は株主として掲載されます。権利確定日に掲載される株主名簿に記録があればその年の株主として認められ株主の権利を取得できます。なお、最近は企業が長期保有を促すために継続保有年数によって優待内容を手厚くする例も増えています。同一の株主番号であることにより長期保有の優遇を受けられる場合には、保有し続けることが条件となります。

空売りすると利益がでる可能性がある

配当落ち日は株価が下落する傾向を利用して利益を得ることができます。空売りをして権利落ち日に株価が下がったところで買い戻しをすれば利益が出る可能性があります。

ただ、注意点もあります。権利付最終売買日に空売りしている場合、売り建てている人は配当落ち調整金を買い建てている人に支払う必要があります。支払う必要がある配当金以上に空売りによる利益が確保できないと儲けることができないので気をつけましょう。

■権利確定日に多い日

権利確定日はそれぞれの企業が定めています。多くの企業は事業年度末や上半期末を権利確定日としています。日本企業の多くは3月末を決算期日としています。そのため、決算期末の3月末や中間期末の9月末に上場企業の権利確定日が集中する傾向があります。

 

■権利確定日に株を所有するメリット

配当金がもらえる

権利確定日に株主として株主名簿に掲載されると、配当を実施する場合に配当金を受け取ることができます。先ほど説明したように、権利確定日のたった1日だけ株を保有していても配当金を受け取ることができます。権利付最終売買日が近くなると配当狙いの投資家の買いが入り、配当利回りが高い株式は買われやすくなります。

株主優待が受けられる

株主優待も配当と同じ仕組みです。権利確定日の1日だけ株を保有していても株主優待を受けることができます。その企業の製品やサービスチケット、お米、商品券などもらったらちょっと嬉しい商品が株主優待にはたくさんあり個人投資家に人気が高いです。

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■権利落ち日と配当

配当とは

配当とは、株を保有している人である株主に対して、企業の利益の一部を現金で支払うものです。配当はすべての上場企業が必ず出すものではありません。仮に配当を出していても、その配当金額がずっと続くかどうかもわかりません。配当は企業の業績によって増減します。

配当金の金額

配当金の金額は保証されたものではなく、企業やその企業の業績によって異なります。例えば赤字など業績が悪かった場合、無配といって、配当金がゼロの年もあり得ます。一方で、好業績だった場合には、増配といって、配当金を増やすこともあります。逆に業績が芳しくなかった場合などは減配といって、配当金を減らすこともあります。

銘柄を選ぶ基準に配当利回りを意識するのも一つの手です。配当利回りとは、購入した株価に対して一年間でどれだけの配当を受け取ることができるかを示したものです。一般的に業績が良い企業は1年に1回、もしくは年2回、株主に対して配当を出します。

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株あたり現在値×100

配当利回りの単位は%で、数字が高ければ高いほど、株価水準に対して得られる配当金の水準も大きくなります。配当利回りは、株価によって上下します。年間配当金額が同じで、購入価格が高いと配当利回りは下がり、逆に購入価格が低いと、配当利回りは上昇します。分母が株価なので株価が下がると相対的に利回りが高くなります。ただし、予想配当金をもとに試算した配当利回りはあくまでも試算ですので、権利確定後に実際の配当金額が減額されたり増額される可能性があります。

配当を受け取るための条件

配当を受け取るためには、権利確定日に株主でいることが必要です。そのためには、権利付最終日までに株式を取得する必要があります。権利付最終日が近くなると配当狙いの買いで株価が上昇する傾向があるので、その前までに買っておくと良いでしょう。実際の配当金は権利確定日の2カ月後くらいに受け取ることができます。

■権利落ち日と株主優待

株主優待とは

株主優待とは、株主が企業から貰える商品やサービスなどの優待のことです。優待の内容は、株主が「貰えるとちょっと嬉しいな!」と思える品々です。自社製品やお米、クオカードなどの金券や優待券、カタログギフトなど様々なタイプがあります。株主優待は、企業が株を保有してくれる株主への御礼として贈られるものと捉えても良いです。よい銘柄を選べば、配当と株主優待だけも十分な利益を得ることができます。

株主優待でもらえるもの

株主優待にはいろいろな種類があります。自社製品やサービス、入場券や割引券や金券、食品、カタログギフトなど様々な種類があります。

株主優待を受け取るための条件

株主優待を受け取るには、配当と同様に権利確定日に株主でいる必要があります。権利付最終日までに株式を購入しておく必要があります。

 

■権利落ち日の注意点

株価の値動きが大きくなる

これまで説明したように、権利付最終日までに株式を取得し、権利確定日に株主として記録されていれば株主の権利を受け取ることができます。そのため、権利付最終日あたりは配当狙いの買いが入りやすく、一方で、配当や株主優待だけを目当てに株を保有している人は、権利落ち日になると株を売るので、権利落ち日は株価が下落しやすい傾向にあります。

権利落ち日の数え方

株主の権利確定関係の一連のタイムスケジュールは全て営業日ベースで数えます。土日や祝日などの休日はカウントしません。

期末の31日などが土日や祝日にあたって営業日でない場合には、当該月の最終営業日が実質的な権利確定日となります。株式は3日後決済ですから、月末最終営業日の2営業日前が権利付最終売買日となります。権利付最終日の翌営業日が権利落ち日です。

■まとめ

配当や株主優待など株主の権利を取得するためには、タイムスケジュールをしっかり把握しましょう。権利付最終日までに株式を取得し、権利確定日の株主名簿に記録される必要があります。権利付最終日の翌日が権利落ち日となります。株主の権利確定に関連する一連の期間は値動き大きくなる傾向があるので注意しましょう。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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