アメリカ半導体大手のエヌビディア(NVIDIA、NVDA)は11月20日、2024年8~10月期の決算を発表する。生成AI(人工知能)ブームの大本命と目される銘柄とあって、決算の内容はエヌビディアの株価だけでなく、半導体関連銘柄や株式相場全体に影響する可能性があり注目される。この記事ではエヌビディアの決算発表について、QUICK Money World掲載記事をもとにスケジュールや市場予想などの情報をまとめた。
(2024/11/21 7:00更新) 米半導体大手エヌビディア(NVIDIA、NVDA)が20日発表した2024年8〜10月期決算は売上高が前年同期比94%増の350億8200万ドルで、ファクトセットがまとめた市場予想を上回った。純利益は同109%増の193億900万ドルで、市場予想を上回った。
決算発表後の時間外取引で株価は一時4%下落した。
2024年8~10月期決算実績
会社発表 | 前年同期比 | 事前予想(ファクトセット調査) | |
---|---|---|---|
売上高 | 350億8200万ドル | +94% | 331億ドル |
純利益 | 193億900万ドル | +109% | 174億ドル |
一株利益(特別項目除く) | 0.81ドル | +103% | 0.75ドル |
2024年11~25年1月期決算見通し
会社発表 | 事前予想(ファクトセット調査) | |
---|---|---|
売上高 | 375億ドル(±2%) | 370億4300万ドル |
エヌビディアとは?
米株式市場に上場する半導体最大手の企業。生成AI(人工知能)の情報処理に必要な半導体の開発で知られる。AIブームの追い風を受けて業績や株価が急伸し、時価総額は6月に一時、世界首位に浮上した。11月にはダウ工業株30種平均の構成銘柄にも採用されている。
AI半導体に強みを持ち、特に「GPU(画像処理半導体)」で有名です。GPUとはコンピュータのハードウェアの一部で、画像などの描画を高速で処理するのに優れています。もともとはゲームなどの映像を高速処理しなめらかに表示させるために設計されましたが、大量のデータを高速に並列処理する優れた能力の高さからAIに事例を覚えさせる段階で活用されるようになりました。その処理能力の高さから、AIデータセンターでも広く使われています。
エヌビディアは「世界のAIインフラのエンジン」と自負する。マイクロソフトやメタプラットフォームズなどのAIサービスに加え、自動運転からヘルスケア、気象予測まで幅広い業界に携わり、エヌビディアのAI技術を使う顧客は4万超。22年にはメタバース(仮想空間)の開発プラットフォーム「オムニバース」を投入し、AIを搭載したヒューマノイド(ヒト型ロボット)の開発などにも取り組む。
エヌビディアの決算、日本時間のいつ頃に発表?
米国株式市場の取引終了後、日本時間の21日午前6時以降に発表される。
事前予想は?
市場では大幅な増収増益が続くと予想されている。
QUICK・ファクトセット(FS)がまとめた市場予想によると、売上高は前年同期比83%増の331億2000万ドル程度が見込まれる。人工知能(AI)向け半導体の旺盛な需要を背景に、データセンター部門の売上高がほぼ2倍の288億2000万ドル程度に伸びる見通しだ。純利益は89%増の174億3700万ドル程度、特別項目を除く1株利益は0.75ドルが見込まれる。
市場のプロの分析は?
専門家の間では市場予想を上回る成長になるとの強気の見方も多く、決算発表を前に各社アナリストによる目標株価の引き上げが相次いだ。決算と同時に発表される24年11月〜25年1月期の売上高見通しにも関心が集まっている。
担当アナリストは次世代半導体「ブラックウェル」の出荷を始める前の移行期間だったことを背景に、控えめな「ビート・アンド・レイズ(市場予想以上の業績と見通し引き上げ)」になると予想。一方で、24年11月~25年1月期はブラックウェルの販売が寄与するとみる。25年2~4月期により大きな上振れとなるとして、投資判断「買い」を据え置いた。
一方、次世代AI半導体「ブラックウェル」の本格生産と出荷を前に、強い需要に対して「供給問題がワイルドカードであり短期的には収益の上振れを抑える可能性がある」(レイモンド・ジェームズ)との見方も多い。市場は24年11月~25年1月期の見通しにもいつにも増して関心を高めている。
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