仮想通貨ビットコインの取引所大手コインチェック(東京・渋谷)は8日、ビットコインの送金手数料を2倍に引き上げるとの声明を発表した。ビットコインの乱高下に伴い取引が集中、それを抑制する思惑があるとみられる。米ゲーム配信サービス企業が7日からビットコインでの支払いの受付を停止するなど、ビットコイン乱高下を巡り、影響が広がりだしている。
8日は値動きの荒さに拍車がかかった
コインチェックはツイッターで手数料を12時23分から通常の0.0005BTCから0.001BTCに引き上げると発表した。取引所大手「ビットフライヤー」によると、ビットコインは初めて200万円を超えた。1ビットコイン=200万円とするとコインチェックの手数料は2000円になる計算で、銀行をはるかに上回る水準だ。投資家がビットコインに殺到し送金に遅延が発生していることに伴う措置というが、突然の公表にインターネット上では戸惑いの声が上がっている。
米バルブのゲーム配信サービス「スチーム」は7日からビットコインでの支払いの受付を停止した。取引手数料がビットコイン決済を始めた時期から100倍近くに跳ね上がったことに加え、決済期間内にビットコインの価値が大きく変動し顧客の利便性を損ねかねない事態にあるためだ。ビットコインは8日朝方に200万円台に乗せた後、急落するなど値動きが激しくなっている。
4月にビットコイン決済を始めたビックカメラ(3048)は8日、一会計当たりの上限額をこれまでの3倍の30万円にすると発表した。旅行商品をビットコインで決済できるエイチ・アイ・エス(9603)も手数料を上乗せして販売しているが、今のところビットコイン上昇の悪影響は手数料には表れていないようだ。
ただ、ニッセイ基礎研究所の櫨浩一・専務理事は「ビットコインは乱高下により、決済通貨として使いにくくなっている」と警鐘を鳴らす。「国内でもビットコイン決済について何らかの対応をする企業が出てくる可能性があり、取り扱いを始めようとしている企業は導入に二の足を踏みそうだ」という。連日のように最高値を更新し乱高下を繰り返すビットコイン。企業がどう対応するかに注目が集まりそうだ。
【日経QUICKニュース(NQN ) 川上純平】
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