日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している3月のQUICK短観では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス22となり、前月調査から2ポイント悪化しました。悪化は8カ月ぶり。一方、非製造業DIは前月調査から変わらずのプラス29でしたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ2ポイント悪化のプラス26となりました。今回の調査期間は3月1~12日、回答者数は上場企業407社。
集中開催が課題の株主総会「すでに集中日を避けて開催」が最多
今回の調査では、開催日の集中が課題となっている「株主総会の集中緩和」について聞きました。平成29年度の税制改正では、コーポレートガバナンス強化に向け、上場企業等の株主総会の開催日を柔軟に設定できるよう、法人税等の申告期限の延長可能月数を拡大する見通しです。貴社では、株主総会の集中緩和のために開催日を変更することについて、どう考えますかと質問したところ、最も多かった回答は「すでに集中日を避けて開催している」が53%を占めました。次いで「検討しない」が21%、「延長拡大にかかわらず、検討している」が15%、「申告期限がさらに延長されるならば変更を検討する」が12%という結果になりました。調査対象である上場企業の半数以上が、すでに総会開催日の分散化に動いていることがうかがえます。
2018年春の新卒採用も「売り手市場」が続く
2018年春に大学卒業予定の学生を対象にした採用活動が3月1日に解禁されました。18年春採用(2018年4月入社)予定の社員数は、昨年と比べてどのようになりますか、と質問したところ、最も多かった回答は「ほぼ横ばいの予定」で65%で、次いで「増やす予定」が31%、「減らす予定」は4%となりました。採用を増やす予定の企業が3割を超えており、近年の人手不足を背景にした企業の採用意欲の高まりがうかがえ、学生優位の売り手市場が今年も続きそうです。
QUICK短観とは・・・
日銀が企業経営者の景況感をまとめて四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つとともに、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感の変化を読み取ることができます。