政府は3月28日、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の導入などを盛り込んだ「働き方改革実行計画の政府案」を示しました。多くの企業で様々な取り組みが進むなか、上場企業へのアンケート調査「QUICK短観」を通じて働き方改革の効果と、政府が普及をすすめる在宅勤務制度(テレワーク)の導入について300社超の企業に聞きました。
残業時間の上限規制、大半が業績に影響なし
政府がまとめた働き方改革実行計画に残業時間の上限規制(原則月45時間、年間で360時間。最大で年間720時間、繁忙期には特例で月100時間まで容認)が含まれています。この残業時間の上限規制が適用された場合の業績への影響について聞いたところ、最も多かったのが「特に変化はない」で75%を占め、次いで「マイナスに作用する」が17%、「プラスに作用する」が6%という結果になりました。
また、在宅勤務制度を検討する企業は回答企業全体の24%と、2年前の14%から比率が拡大しました。実際に導入した企業も12%と前回調査の8%から拡大しました。育児や介護と仕事の両立が難しい人も働きやすくなるように企業の働き方改革が進んでいるようです。事業の性格上、在宅勤務制度の導入は現実的ではないと回答した企業は56%(前回調査は74%)でした。
アンケートでは「専門的組織を立ち上げて検討を開始した」、「製造業として柔軟性に限りがあるものの、職種によって勤務制度はもっと柔軟であってよい」とのコメントがありました。一方、「研究や開発、生産が一体となって働く協業時間を重視するため在宅勤務制度は導入していない」との声も聞かれました。
あおぞら銀行や日本電産、日本取引所グループなど4月からの在宅勤務制度の導入を発表した企業も目立ちます。在宅勤務制度が拡大すれば長期的には都心への人口集中が緩和して満員電車によるトラブルや待機児童問題の解消などにつながる可能性もあるでしょう。
なお、日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している5月の「QUICK短観」では、製造業の業況判断指数(DI)が前月比1ポイント上昇のプラス28と2カ月連続の改善となりました。非製造業DIは前月調査から変わらずのプラス37となり、金融を含む全産業DIも前回調査から変わらずのプラス33とでした。