【日経QUICKニュース(NQN)】スイス金融市場監督機構(FINMA)は23日公表した声明で、スイス金融大手クレディ・スイス・グループが発行した「AT1債」が無価値となると決まったことについて「目論見書と緊急条例に基づいたものだ」とし、正当性を主張した。
FINMAによると、クレディ・スイスが発行したAT1債は契約上、政府から特別な支援があった場合に「実質破綻事由」として元本を毀損するよう定められている。そのうえで、19日発表されたスイス金融最大手UBSによる救済買収に絡んだ流動性支援で「元本削減の条件を満たした」と説明した。またFINMAにAT1債の評価減を実行できる権限を与えると定めた緊急条例も元本毀損の根拠になっているとした。
UBSによる救済買収に伴い、FINMAはクレディ・スイスが発行した160億スイスフラン(約2.2兆円)のAT1債は全額毀損すると説明。債券と株式の劣後関係が事実上逆転し、投資家から非難する声が挙がっていた。