来週(11月16日~)の上場REIT(不動産投資信託)市場を展望するために、QUICKが今週配信したREIT関連ニュースを振り返った。12日に発表された10月の投資主体別動向では、運用難を背景に銀行がREIT買いに転じ、個人投資や海外投資家の売りを吸収していることが分かった。海外投資家は、長期金利の上昇基調を背景にREITの売りに回っているようだ。またQUICK資産運用研究所は、独自にコロナショック時で下落率が小さかったREIT型投信のランキングを作成、物流やインフラへの投資比率が大きいファンドの下げが相対的に小さかった。
来週にはグローバル・ワン(8958)、ジャパンリアルエステイト(8952)、ケネディクス商業(3453)、森トラスト総合(8961)、大和リビング(8986)の通期決算が予定されている。
今週の主要REIT指標の騰落率は以下となる。REIT相場全体は堅調に推移したものの、分野別に見ると住宅と物流が軟調だった。
銘柄名 | 騰落率(%) |
東証REIT指数 | 0.27 |
東証REITオフィス | 0.61 |
東証REIT住宅 | -1.04 |
東証REIT商業 | 0.27 |
東証REIT物流フォーカス指数 | -0.49 |
■REIT型投信、コロナショックで下落率が小さかったのは?(11/13)
世界の金融市場がコロナショックに見舞われた2020年。不動産投資信託(REIT)は他の資産と比べて値下がり幅が大きく、国内外のREITで運用する投資信託も打撃を受けた。そんななかでも比較的下落率が小さかったファンドをランキングしてみた。
対象にしたのは、主に国内外のREITに投資する国内公募追加型株式投信(ETF、DC専用、SMA・ラップ専用除く)。下落率の算出方法は19年12月末時点の基準価額(分配金再投資ベース)を起点に、コロナショックによって付けた最安値を比べた。参考までに、配当込み東証株価指数(TOPIX)の下落率は、3月16日に付けた最安値までの28.14%。REIT型ファンドは30%以上がほとんどだった(記事の続きはこちら)。
(QUICK資産運用研究所=望月瑞希)
■10月のJ-REIT、個人・海外勢の売りに銀行が買い向かう構図(11/13)
東証が12日発表した10月のJ-REIT(日本の上場不動産投資信託)、投資部門別売買状況によると、銀行が235億円を買い越し、最大の買い越し主体となった。一方、個人が369億円、投資信託が295億円、海外投資家が179億円をそれぞれ売り越した。
モルガン・スタンレーMUFGは12日付リポートで長期金利が上昇基調で推移する中、海外投資家はJ-REITのウエートを落とす動きがあったと指摘。また、J-REITの絶対株価が下落する中、「銀行が一定の目線をもって押し目買いをしていた」との見方を示した。
野村証券も同日付リポートで「運用難の構図が変わらない中、やはりJ-REIT関連資産は有力な投資対象の一つになっている」と指摘した。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
■REIT決算&開示情報
11/13 <決算>SOSiLA (2979) 増額修正 分配金(2,187円←2,152円 2021/05)