東京五輪・パラリンピックの開催まで、40日あまりとなった。国や東京都が開催に向けて準備を進めるなかで、報道各社の世論調査では反対の声も多い。株式市場の関係者は五輪開催が、市場にどう影響するとみているのか。
6月のQUICK月次調査<株式>で、東京五輪を開催した場合と、延期または中止となった場合の影響を、9月末の日経平均株価の水準で聞いてみた。その結果、5割近くがどちらの場合でも2万8000~3万円台との回答だった。現在の日経平均は29000円を挟んで一進一退となっている。五輪が開催されようと中止になろうと、株価はほぼ横ばいで推移するとの見方が多いようだ。
日経平均が30000円を上回るとの回答は、開催する場合は32%、中止・延期の場合は26%だった。開催する場合の方が株価は上昇するとの見方がやや多い。「市場はすでに東京五輪に関する悪材料は織り込み済み。五輪開催の不透明感の払拭が小幅なプラス要因」との回答があった。
一方で28000円以下になると回答したのは、開催する場合が19%、中止または延期する場合が26%だった。市場にとってリスクとなるのは五輪開催後のコロナの感染状況で、「開催や延期そのものが相場に影響を与えるわけではない」(投信投資顧問)との見方があった。
内閣支持率への影響も限定的だった。東京五輪を開催した場合と延期または中止となった場合の内閣支持率への影響は、どちらの場合も支持率には影響しないとの回答がおよそ4割を占めた。「支持率に影響するのは五輪ではなくワクチン接種の動向」(投信投資顧問)との声が多く聞かれた。
調査で毎月聞いている日経平均株価の終値予想は、5月調査時点と比べてやや引き上げられた。6月末の日経平均の予想は29095円で、前回の調査より665円上昇した。
日経平均株価予想
調査は国内機関投資家の運用担当者など211人を対象に実施し、123人が回答した。調査期間は6月1日~3日。