日本株が欧米株に比べて伸び悩んでいる。米ダウ工業株30種平均は節目の3万5000ドルを上回り、最高値の更新が続く。一方で日経平均株価は2月に3万0467円の年初来高値を付けて以降はさえない値動きとなり、足元は2万8000円前後にとどまっている。
8月のQUICK月次調査<株式>で毎月聞いている日経平均株価の月末予想は2万7915円で、7月調査の2万8850円から大幅に下落した。2万8000円を割り込んだのは7カ月ぶりだ。
日本株が出遅れている要因を聞いたところ、6割が「ワクチン接種の遅れと感染の再拡大」と回答した。国内のワクチン接種は進んでおり、回答者からは「接種の進展とともに景気回復を見込む」(証券会社)との見方がある一方で、「ワクチン接種先行国でもデルタ株の感染が拡大している。ワクチン普及でコロナが過去のものになるというシナリオは楽観的」(投信投資顧問)との声もあった。続いて4割が「海外投資家の日本株への関心が低下」、2割が「内閣支持率の低下」だった。「秋の総選挙を控え政治をめぐる不透明要因が日本株の下押し要因」(投信投資顧問)との指摘もあった。
金融庁が6月に公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2021」に対する評価も聞いた。同レポートは国内の資産運用会社や販売会社の課題に対する金融庁の見解が示されており、20年版に続いて2度目の公表となる。
20年のレポートで挙げられた課題は「金融グループ系の国内資産運用会社のガバナンスの向上および独立性の強化」、「グローバル運用やオルタナティブ運用の強化など、運用各社の特色や強みを明確にするための取組み」、「顧客利益を最優先にする商品組成や提供、運用、管理の実現」などだった。これらの課題の進展度合いを聞いたところ、市場参加者の6割強が「進展があった」と評価していた。
調査は国内機関投資家の運用担当者など212人を対象に実施し、123人が回答した。調査期間は8月3~5日。