菅義偉首相が3日、自民党総裁選への不出馬を表明し、首相を辞任する意向を示した。総裁選には立候補を表明していた岸田文雄氏に続き、河野太郎氏や高市早苗氏などの出馬が想定される。市場では候補者による経済政策に期待が高まり、6日は東証株価指数(TOPIX)がバブル後の最高値を付けた。
8月31~9月2日にかけて実施した9月の月次調査<株式>によると、9月末の日経平均株価予想は2万8526円だった。菅首相の退陣表明が株価を押し上げ、日経平均は6日時点で2万9659円まで上昇し、すでに市場予想を上回っている。
日経平均がいつ3万円を回復するかを聞いた質問では「2021年11~12月」との回答が38%を占めた。続いて24%が「2022年1~3月末」と回答している。「年末から来年にかけてワクチン接種が進展し、経済とコロナの両立で経済は緩やかに回復する。企業の積極的な設備投資や、世界経済の回復に伴う外需の増加も寄与する」(損害保険)との意見があった。「しばらくもみ合っていた日経平均株価の割安感が解消され、徐々に買戻しが入る」(証券会社)との声も聞かれた。
足元では現政権への閉塞感が払しょくされ、次期政権への期待が先行している。調査で次期首相としてふさわしいのは誰かを聞いたところ、河野太郎氏と回答したのが26%で最多だった。菅氏(24%)を除くと、次に岸田文雄氏(19%)、安倍晋三氏(10%)が続いた。
総裁選後に予定される衆議院総選挙では「自民・公明党を合わせて過半数を確保する」との見方が56%で最多だった。「与野党の政権交代までは見込みにくく、波乱の可能性は低い」(投信投資顧問)という。「とって代わる野党政権の枠組みが存在しない以上、自民党は勝てなくても負けはしない」(その他)との声もあった。
調査は国内機関投資家の運用担当者など212人を対象に実施し、121人が回答した。調査期間は8月31~9月2日。