QUICK資産運用研究所は2024年11月15~30日、全国の18~74歳を対象に「個人の資産形成に関する意識調査」を実施した。同調査は今回で9回目。集計結果はQUICKサービスを通じて順次配信していく。 |
QUICK資産運用研究所の「個人の資産形成に関する意識調査」は2016年から実施しており、今回で9回目を迎える。毎回その年の主なトピック(24年調査は新NISA=少額投資非課税制度=の利用状況など)に加え、「資産形成・資産運用の必要性を感じるか」「どんな金融商品を保有しているか」などを定点観測している。ここからは過去の調査結果と比較しながら、資産形成に関する個人の意識変化についてまとめた。
■必要性感じる割合、4年ぶりに低下
今回2024年調査では「あなたは資産形成・資産運用の必要性を感じますか」との質問に対し、「非常に必要性を感じる」「やや必要性を感じる」と回答した割合が合計60.9%だった。前回23年調査(同62.0%)を1.1ポイント下回り、小幅ながら4年ぶりに低下した。
もっとも、同じ質問で過去にさかのぼって比較できる18年調査以降の推移を見ると、資産形成に必要性を感じる割合はなだらかな上昇傾向にある。18年には49.3%と5割を下回っていたが、直近3回は6割超を維持している。
なお、今回調査では「あまり必要性を感じない」「まったく必要性を感じない」の合計は12.6%と前回比1.0ポイント上昇、「どちらとも言えない」は26.5%と同0.1ポイント上昇した。
■18~29歳が初の6割台
資産形成・資産運用に「必要性を感じる」「やや必要性を感じる」と答えた人の割合を年代別にランキングしてみると、1位は40代(66.5%)、2位は30代(63.0%)、3位は18~29歳(60.9%)だった。このうち18~29歳は前回から1.2ポイント上昇し、比較可能な18年調査以降で初めて6割台に乗った。
一方、理由は不明だが、今回調査では30~50代の現役世代を中心に必要性を感じる割合が低下したのが特徴の1つ。前回調査を下回ったのは、低下幅の大きい順に30代(4.8ポイント低下)と50代(62.9%→59.0%、3.9ポイント低下)、40代(2.0ポイント低下)だった。50代は前回3位から今回5位に順位を落とした。
■理由に変化の兆しも
資産形成に必要性を感じる理由を複数回答で聞いたところ、24年調査では「老後不安、公的年金だけでは足りないと感じるから」が81.5%で断トツ。2位は「銀行に預けていても増えない(預金の金利が低い)から」の53.2%、3位は「投資が趣味、楽しいから」が13.7%だった。
この質問を過去にさかのぼって比較できるのは19年以降になるが、これまで1~3位の順番は変わっていない。24年調査で前回より割合が増えたのは3位のみ(1.0ポイント上昇)。1位は前回より1.7ポイント低下した。2位は同3.0ポイント下がり、3つの理由の中で唯一、過去最低を更新した。24年は日銀が3月にマイナス金利政策を解除、7月に追加利上げに踏み切り、大手銀行や地方銀行などが普通預金金利を引き上げたことが影響した可能性がある。
また、お金に関して困っていること、不安に感じることを答えてもらう質問では、「老後資金」との回答が45.2%で首位。「老齢にともなう介護・医療費」(21.5%)、「家族の介護費」(10.5%)と続いた。こちらの順位も前回から変化はない。
資産形成・資産運用の必要性を感じない理由では、「そもそも資産形成について考えたことがない」が31.1%で最も多い。前回比では1.0ポイントの上昇。僅差で2番目に多かった「リスクを取りたくないから」は30.4%と前回を2.5ポイント上回った。新NISA(少額投資非課税制度)が社会的な話題になるなかでも、リスクを取ることへの抵抗感が一部に根強いようだ。
<調査概要> 調査期間 2024年11月15日(金)~30日(土) 調査対象 全国の18~74歳の個人 国勢調査の結果に準じて性別×年代別×地域別(8区分)の構成比率を原則割り付け 回答者数 5075人 調査方法 インターネット調査 調査会社 日経リサーチ |
=⑫に続く
※「個人の資産形成に関する意識調査」を引用する場合、出所を「QUICK資産運用研究所」と明示してください。
<関連ニュース>
日経電子版(2024/12/25):新NISAの利用者、7割超が運用益確保(QUICK資産運用研究所調査)