今週末の2月7日(金)、米国で2025年1月の雇用統計が発表される。米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策運営に影響を与える重要指標で、市場関係者の関心は高い。この記事では、QUICK Money Worldの関連記事を中心に雇用統計のスケジュールや市場の予想などを解説する。
米雇用統計とは?
米国の雇用情勢を調べた経済指標のこと。失業率、非農業部門雇用者数をはじめ、建設業雇用者数、製造業雇用者数、小売業雇用者数などの業種別雇用者数、週平均労働時間、平均時給などが米国労働省から発表される。失業率と、非農業部門雇用者数の増減は特に注目される指標の一つ。通常、翌月の第一金曜日に発表されている。
雇用統計の主な内容には、「非農業部門雇用者数」があります。製造業やサービス業など農業以外の産業で、前月からどれくらい雇用者が増えたかを示しています。増加していれば、雇用が順調に増え、経済が拡大していると判断されます。このほか、雇用統計には働きたいが実際には職がない人の割合を示した「失業率」や雇用者の賃金がどれくらい伸びているかを示す「平均時給の伸び率」などがあります。
雇用統計はなぜ重要?
雇用統計は米国全体の雇用情勢を総合的に把握できる指標で、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を決める際の重要な判断材料となっている。
労働市場の流動性が高い米国では、景気動向によって就業者数が大きく変動する。米連邦準備理事会(FRB)がその使命に物価の安定とともに「雇用の最大化」を掲げていることもあり、金融政策を占ううえでも重要性は高い。
雇用統計は、いつ発表される?
1月の米雇用統計は、今週末の2月7日(金)の日本時間22時30分に発表される。
市場の予想は?
今回の雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが前月から縮小すると予想されている。
ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想では非農業部門の雇用者数は前月比17万5000人増と、増加幅は昨年12月の25万6000人から縮小するとみられている。
今後の見通しは?
FRBは1月のFOMCで政策金利を据え置いた。市場では、次回3月の会合でも利下げを見送るとの見方が優勢になっている。雇用統計が米雇用情勢の底堅さを示す結果となれば、FRBが利下げを急がないとの見方が改めて強まりそうだ。
非農業部門雇用者数(NFP)は前月から16万人増と24年12月(25万6000人増)から伸びが鈍化するほか、平均時給は前月比0.3%増、失業率は4.1%と前月から横ばいが見込まれている。仮に強い内容が示されれば、米金利据え置き観測が一段と高まりかねない。
末広氏は「3月のFOMCまでに発表となる米国の雇用統計や消費者物価指数(CPI)が強めなら3月はスキップ。だが、FRBのウォラー理事など3月利下げを排除していないメンバーも残っていると思われ、利下げの可能性はゼロではない」とみる。
前回はどうだった?
前回の雇用統計は非農業部門の雇用者数などが市場予想を上回り、米雇用の強さを示す結果となった。市場では、FRBが当面利下げを見送るとの見方が強まった。
前回2024年12月の雇用統計は就業者数の前月比の伸びが市場予想を大幅に上回り、失業率も前月比で低下したことから、雇用の強さが示された。
強い雇用統計を受け、2025年の利下げ見通しを下方修正する動きが相次いだ。米大手金融グループは10日付のリポートで、米連邦準備理事会(FRB)の25年の利下げ回数を3→2回に下方修正した。
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