ピクテ・ジャパンが運用する「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(通称:グロイン)の純資産総額(残高)が8000億円を割り込んだ。10日の残高は7852億円。8000億円を下回るのは2020年3月24日以来、およそ5年ぶりとなる。
グロインは05年2月に設定され、運用実績が20年を超える長寿ファンド。電力や通信など公益サービスを提供する世界の高配当利回り企業の株式に投資する。かつての毎月分配型ブームで人気だったファンドの1本で、ピーク時には残高が2兆8468億円(07年6月4日)まで膨らんだ。19年から20年にかけては、国内公募の追加型株式投資信託(上場投信=ETF=を除く)の残高ランキング(月末ベース)で1位だった時期もある。
より高い分配金を支払う毎月分配型に人気が移ったことでグロインの残高はピークアウトし、最近は複利効果を得やすい無分配の低コストファンドの台頭などもあって順位を落としている。25年4月10日時点の残高ランキングでは13位だった。
月次ベースの資金の流れをみると、23年8月以降は資金流出超が続いている。年初から25年4月10日までの資金流出額は推計で81億円。投資対象の公益企業株の業績は景気変動の影響を受けにくく、トランプ米政権による関税政策で金融市場が大荒れとなるなかでも株価は比較的堅調に推移している。ただ、為替変動リスクを取りながら運用するため、年初から進行した米ドル安・円高などの影響を避けられず、年初来リターン(分配金再投資ベース)は4月10日時点で9.88%のマイナスだった。この日は決算日で分配金の支払いも残高減少につながった。