27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比344.89ドル(1.42%)安の23857.71ドルと大幅に反落した。フェイスブックやツイッター、テスラ、エヌビディアといったハイテク株に悪材料が出るなか、前日に669ドル高と急伸した反動が出た。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は2.93%安と急反落。下落率としては2月8日(3.89%安)以来、1カ月半ぶりの大きさを記録した。
ダウ平均の値下がり寄与度トップはボーイングで54ドルほど押し下げた。ゴールドマン・サックスはおよそ52ドル押し下げ、2銘柄で100ドル超押し下げるインパクトを与えた。値下がりは25銘柄だった。
半面、値上がり寄与度のトップはプロクター&ギャンブルで9ドルほど下支えした。著名投資家のウォーレン・バフェット氏による買いがうわさされたゼネラル・エレクトリックは3ドルほどの下支え要因となった。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のツイッターは急反落し、12.03%安の28.07ドルで終えた。一時は27.88ドルまで下げた。空売り投資家のシトロン・リサーチがツイッターに「シトロンはツイッターを空売りしている。短期的な目標水準は25ドルだ」と投稿。26日の終値(31.91ドル)から21%低い水準を見込んでいる。シトロンは「全てのソーシャルメディアは規制に脆弱だ」などと理由を挙げている。
画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアは7.75%安と大幅反落。配車アプリの米ウーバーテクノロジーズが今月19日にアリゾナ州の公道での自動運転試験中に死亡事故を起こしたことを踏まえ、エヌビディアはしばらくの間、自動運転の実験を止める方針を発表。GPUの需要拡大が期待されていた自動運転業界の先行きに警戒感が広がった。エヌビディアの大幅安が響き、フィラデルフィア半導体指数は3.77%安となった。
サントラスト・ロビンソン・ハンフリーは同日付のレポートで「きょうの急落局面は押し目買いの好機だ」と指摘した。「自動運転の走行試験を一時停止したが、同社の自動運転のリサーチや売上高に及ぼす影響は軽微だろう」との見方を理由とした。「同社の自動車部門の主な収入源は車載システムであり、自動運転の売上高は今後2~3年は大きくないとみられる」とした。「路上での走行試験を一時的に中止したものの、シュミレーションを使うなどして研究開発(R&D)は続く公算が大きい」という。
フェイスブックは4.89%安の152.22ドルで終えた。2016年の米大統領選で個人情報が不正に利用された問題に関して、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が議会で証言すると報じられた。上下院、どの委員会で証言するかは不明という。バンクオブアメリカ・メリルリンチが目標株価を230ドルから210ドルに大きく引き下げたことも嫌気された。米経済専門チャンネルのCNBCによると、バンカメ・メリルが目標株価を引き下げるのは過去5日間で2回目。
電気自動車(EV)大手のテスラが8.21%安の279.18ドルと急反落した。一時は277.18ドルまで下げ、17年3月31日以来およそ1年ぶりの安値圏に沈んだ。米運輸安全委員会(NTSB)が前週起きたテスラの多目的スポーツ車(SUV)の死亡事故を受けて調査していると明らかにした。事故当時、安全装置が作動したかどうかは不明だが、車の前部が大破するなどバッテリーの安全性も改めて問題視された。16年6月にはセダンのモデルSで自動運転中に死亡事故が起きたこともある。
テスラは27日の米時間外取引で一段安。271.21ドルまで下げ、日中安値(277.18ドル)を下回った。米格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが27日夕、量産車のモデル3の生産遅れを理由に格付けを「B2」から「B3」に1段階引き下げた。いわゆる「ジャンク級」だ。キャッシュフローがマイナスのなか、流動性が逼迫しているなどと指摘した。
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