トランプ米大統領が政権公約で掲げた大型減税法案が議会で可決され、成立が確実となった。連邦法人税率は35%から21%に低下し、地方税と合わせた法人実効税率は現行の約41%(カリフォルニア州の場合)から約28%まで下がる見通し。これは日独などを下回る水準だ。企業の海外子会社からの配当課税も廃止されるほか、設備投資の即時償却が認められ、企業減税の規模は10年間で6500億ドルに達するとみられる。
抜本的な税制改革は1986年にレーガン政権下で行われて以来、約30年ぶり。法案はトランプ大統領が署名して成立するが、財政赤字が大きく増えることを禁じた財政関連法の適用を停止するなどの手続きが必要なため、年明けまでずれ込む可能性もある。
「QUICK FactSet Workstation」のS&P500企業税率一覧データから、法人減税の恩恵を享受しそうな企業を抽出したのが下記の表だ。
<法人減税のメリット享受が期待できる主な銘柄>
・S&P500採用企業
シンボル 名称 税率(企業が実際に支払っている税の負担率)
———————————————
WDC Western Digital Corporation 48.4
V Visa Inc. Class A 42.7
UAL United Continental Holdings, 40.7
GPS Gap, Inc. 39.9
HD Home Depot, Inc. 36.3
M Macy’s Inc 35.8
VZ Verizon Communications Inc. 35.2
AFL Aflac Incorporated 34.6
UA Under Armour, Inc. Class C 33.8
BBY Best Buy Co., Inc. 33.5
T AT&T Inc. 32.7
F Ford Motor Company 32.2
DIS Walt Disney Company 32.1
MCD McDonald’s Corporation 31.7
WFC Wells Fargo & Company 31.4
WMT Wal-Mart Stores, Inc. 30.3
FOX Twenty-First Century Fox, Inc. 30.3
C Citigroup Inc 30.0
AAPL Apple Inc. 24.6
※QUICK FactSet Workstationより
法定の表面税率と企業が実際に支払っている実効税率は異なるが、新しい連邦法人税率21%以上の企業は308銘柄あり、大半の銘柄で恩恵を享受するとみられる。主力IT企業ではアマゾンが36.6%、アップルは24.6%となっており、減税の恩恵を享受しそうだ。その一方で、グーグルを傘下に持つアルファベットは19.3%、フェイスブックは18.4%と、20%以下の水準となっており、さほど恩恵はなさそう。マイクロソフトは8.4%になっており、影響はほとんどなさそうだ。
<法人減税のメリット享受をそれほど期待できない主な銘柄>
・S&P500採用企業
シンボル 名称 税率
———————————————
GOOG Alphabet Inc. Class C 19.3
FB Facebook, Inc. Class A 18.4
XLNX Xilinx, Inc. 9.9
MSFT Microsoft Corporation 8.4
STX Seagate Technology PLC 5.3
IBM International Business Machines 3.6
MU Micron Technology, Inc. 2.2
※QUICK FactSet Workstationより
減税の恩恵が少ないとみられる企業は、海外のタックスヘイブン(租税回避地)に本拠を移転するなどして、すでに実質的な税率が低くなっている企業。マイクロソフトは米国に本拠を置くが、アイルランド、シンガポール、プエルトリコなどの低税率国にある子会社に分担させて、全世界の製品販売事業を運営しているため税率が低いという。
※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。