東京証券取引所が12日発表した投資部門別株式売買動向では、海外投資家が4~5日の2日間で4851億円を買い越したことが判明した。詳細は不明に見える実際のトレードも海外市場に上場する上場投資信託(ETF)を調べてみると具体的な投資先が鮮明になる。
日本の市場関係者が注目する海外のETFに「グローバル X ロボティクス & AI ETF(Global X Robotics & Artificial Intelligence Etf、@BOTZ/U)」がある。2016年末の運用資産残高(AUM)は約300万㌦。これが今年1月10日時点では18億5400万㌦にまで急成長した。
ファンド名称でわかるように機械関連とAI関連が投資対象だ。QUICK FactSet Workstationで保有銘柄を見ると日本企業のウエートが大きいのが分かる。
実際の運用成績も非常に良好。このBOTZは16年末から直近までの期間に72%上昇。米S&P500種株価指数(24%)を大幅にアウトパフォームした。
さらにQUICK FactSet Workstationによると、5日からの4営業日で合計2億2700万㌦の資金が流入。今年に入っても同ETFを購入する勢いに陰りは見えない。
似たようなETFに「ロボグローバル・ロボティクス・アンド・オートメーション指数ETF(Robo Global Robotics & Automation Index Etf、@ROBO/U)」がある。こちらも16年末時点のAUMが1億3400万㌦だったのに対し、直近までに21億7700万㌦にまで成長。パフォーマンスは54%上昇と良好だ。BOTZと同様に年明けから資金流入が確認されている。
また日本株を多く保有する点も共通している。
金融危機後、産業として急成長したのがETFビジネスだった。これによりグローバルのテーマ型投資が容易になった。日本株を買う・売るといった単純な投資判断だけが相場を左右するわけではない。世界経済や産業構造がどうなるのか。あくまで全体を俯瞰した投資判断がETFというチャンネルを経由して日本株市場に流入しやすくなったのは事実のようだ。
【QUICKデリバティブズコメント:岩切清司】
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