米S&P500指数に連動する「iシェアーズ・コアS&P500ETF(IVV)」から21日に大規模な資金が流出した。QUICK FactSet Workstationによると流出額は40億58万㌦(4242億円)となり、この日の米国市場の上場投資信託(ETF)で流出額トップだった。同ETFとしては2014年2月4日(24億6905万㌦の流出)を上回り、2000年5月15日の設定以来、過去最大の流出額を記録した。
この日の米国市場で同ETFは0.18%安で小反落して終えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表後、債券が買われてドル安・株安が進む中でS&P500に連動するETFも軟調な展開だった。
このETFはS&P500連動ETFの中でも経費率が安いことで知られる。低コストで米株に投資していたパッシブ投資家がFOMCをきっかけに解約売りを出した可能性が考えられそうだが、組入トップのアップル(3.83%)、2位のマイクロソフト(3.09%)、3位のアマゾン・ドットコム(2.75%)、4位のフェイスブック(1.74%)といった具合に組入上位には主力ハイテク株が並んでいる。フェイスブックの個人情報不正利用問題を受けて米ハイテク株が不安定な状態となっているため、ハイテク株のウエートの高さを警戒したリバランスの動きが出た恐れもありそう。
フェイスブックの急落が影響したのか、同ETFからは21日までの3日間だけで累計65億3869万㌦の資金流出があり、純資産は16日から82億7630万㌦(5.2%)減少した。
また21日までの1週間で「SPDRS&P 500 ETF トラスト(SPY)」は33億㌦超、「SPDRダウジョーンズ・インダストリアル・アベレージ ETF(DIA)」は16億㌦、「パワーシェアーズQQQトラスト・シリーズ1(QQQ)」は14億㌦がそれぞれ流出した。IVVも合わせると主要な米株ETFから合計129億㌦(約1兆3000億円)のマネーが流出した計算になる。
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