QUICKコメントチーム=大野弘貴
東証2部上場の東芝(6502)は13日、「当社の上場市場変更準備にかかる報道について」と題したリリースで「極力早期に、1部指定に向けた申請を行いたい」との会社見解を公表した。
東芝の東証1部復帰を巡っては、東証が11月29日にパブリック・コメントの募集を始めた「上場子会社のガバナンスの向上等に関する上場制度の整備について」(2020年2月適用予定)内の「1部指定、市場変更等に係る取扱等の見直し」で、「市場第2部の上場会社が1部指定の申請を行う場合の虚偽記載または不適正意見等がないことを求める期間について、マザーズやJASDAQの上場会社が市場変更の申請を行う場合と共通化し、最近2事業年度」とする旨の変更が示されていた。現行の基準で、東芝は22年まで1部復帰が出来なかったが、本変更により早期での1部復帰の可能性が高まる。
SMBC日興証券は13日付リポートで「東証の提案では、過去5年間に実効性確保措置を適用された会社については慎重な審査を行う」こととしていることから、東芝に対する審査機関が通常の3カ月より長くなる可能性があると指摘。一方で、「上場子会社の整理や高い社外取締役比率などのガバナンス改善策が評価され、認められる可能性が高い」との見方を示した。1部昇格に伴い、約1300億円(3500万株)、約12日分の買いインパクトが見込めるとの試算が示されている。
野村証券は「1部指定銘柄のパフォーマンスは、承認の翌営業日に平均でプラス5%程度であった」と分析。また、銘柄については「パッシブイベント周辺よりも申請までの株価反応の方がはるかに大きかった」と指摘している。また「東芝は流動性指標も高いことから、日経平均株価の定期見直しのタイミング(10月)で、有力候補になりうる」との見方も示されている。
東芝の時価総額は約1兆7000億円で、東証1部の中では80位台前半の大きさにあたる。
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