QUICKコメントチーム=片平正二、Photo by Ralph Freso/Getty Images
ボーイングが16日夕、2度の墜落事故を起こした主力機「737MAX」の生産を2020年1月に停止すると正式に発表した。17日の米国市場でボーイング株は前日比変わらずで落ち着いた展開だったが、サプライヤーのスピリット・エアロシステムズは2.85%安で続落した。ボーイングは人員削減を行わない方針だが、航空機業界の裾野の広さを考えると実体経済への影響がやや警戒されそうだ。
JPモルガンは17日付のリポートで「737MAXの停止に伴い、2020年1~3月期(1Q)の米国内総生産(GDP)は年率換算で約0.5パーセントポイントの押し下げ効果があると推定している」と指摘した。今年初めに737MAXの問題が表面化したときに完全停止なら実質GDPで約0.15パーセントポイント、年率で約0.6パーセントポイントの影響があると推定したといい、若干の違いは4月以降の生産台数の違いを考慮したもの。「生産が再開されれば、GDPには上昇をもたらすハズである」とも指摘したが、部品メーカーの雇用にも影響が出る可能性がある。
また、GDPで測定された効果は737MAXのサプライチェーンの多くの企業に分布しているため、様々な工場調査で間接的に表れることも考えられる」とし、影響の広がりをやや警戒していた。
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