新型コロナウイルスの企業活動に及ぼす影響が見極めにくい中、株式市場には疑心暗鬼のムードがくすぶる。とはいえSBI証券の3日の売買代金上位を見ると、優待人気のオリエンタルランド(4661)や高配当銘柄のメガバンクなどが入り、3月期末の権利取りを意識した動きも垣間見える。3月は優待実施企業が837社ともっとも多い。株価の調整で優待と配当を合算した総合利回りは平均で8.94%と、株価の調整で投資妙味は増している。利回りの水準ごとに見ると「3%以上~5%未満」のグループがもっとも多い(図1)。
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■合計利回りが高くても利用用途に注意
総合利回りの首位は投資会社のOak キャピタル(3113、2部)で、ハワイのゴルフ場「マカニゴルフクラブ」での無料プレー権(1080ドル相当)や銀食器専門店「クリストフル」で使える優待券などが対象だ。金額換算では高めなものの、ハワイに行くことが前提となると利用者も限られそうだ。このほか結婚式場のエスクリ(2196)やスポーツ用品店のゼビオ(8281)など、自社サービスや商品の割引クーポンなどが高めに出やすく、持ち出しがかかるほか利用頻度がそう高いものでもない場合も多い(図2)。
■選択肢は「守り」の優待か
企業の中には新型コロナの影響が大きく株価や業績の変動が大きくなっている銘柄も多い。例えば結婚式の延期などへの影響が懸念され、2月以降エスクリの株価は2割あまり下落している。株価調整が利回りを押し上げている面もあり、ホテルや運輸関連の企業も利回り上位に入っている。新型コロナウイルスの問題が追い打ちをかける格好で業績悪化が加速度的に進めば、株価の調整リスクや減配、株主優待の見直しなどに踏み込む企業も出てくる可能性がある。
新型コロナウイルスの直接の影響というより個社の収益環境や財務基盤が厳しいことが原因とはいえ、フルッタフルッタ(2586、マザーズ)は2日、20年3月期末を基準日とする優待から一時停止すると発表。ヘリオス テクノ ホールディングス(6927)も「公平な株主還元」を理由に挙げるものの、業況が厳しく減配見通しの中で10単元以上を保有する株主を対象に実施していた優待についても今3月期末からの廃止を発表。優待ではないが、かつて高配当銘柄の一角として鳴らしていた日産自動車(7201)も大幅な減配を発表し、株価は約10年ぶりの安値水準に沈むなど浮上のきっかけを失っている。
そのため単純に利回りや優待内容を見るだけではなく、「守り」も固めた銘柄選別が重要になりそうだ。①3月優待企業(時価総額500億円以上)のうち、②総合利回りが3%以上、③自己資本比率が60%以上(12月末時点)、④日経平均株価に対する過去90日のベータ値が1未満、⑤今期最終黒字を予想、⑥PBR(純資産倍率)1倍超の銘柄を抽出した(図3)。
一連の条件を満たす中で利回りの首位はコーエーテクモホールディングス(3635)。同社は19年1月に自社株買いを発表しているが、銘柄群の中にはここしばらくは自社株買いを実施していない企業もある。総合的な株主還元施策にも期待したい。
(注)日本証券業協会は「広告等に関する指針」で「配当の表示等に関する事項」として株主優待制度の優待内容については①利回り及び配当と合算した利回り表示は行わない②配当金額と優待内容を金額換算した額を合算した表示を行わない――としています。QUICKは金融商品取引業者および日本証券業協会の会員ではありません。本コンテンツは、情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。
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