QUICK Market Eyes=弓ちあき
一進一退が続く株式相場。依然として新型コロナウイルスの感染拡大に終息のメドが立たず投資家としても気迷いスタンスは致し方ないところ。終息時期を見極めることは難しいが、目線を少し長めに持てば、4月の株主優待は「コロナの後のお楽しみ」ととらえることもできそうだ。外出自粛の要請が解除されれば、お買い物や外食にも走り出したい。そんな時には優待券を握りしめてはどうですか?
■利回り首位はビジョナリーホールディングス
4月に権利確定を迎える株主優待銘柄は30社だ。金額換算した利回り首位は「メガネスーパー」などを展開するビジョナリーホールディングス(9263、ジャスダック)。100株の保有でメガネレンズ仕立券(1万円相当)2枚、検査コース券(4000円分)2枚、リラクゼーション10分券(1000円分)2枚が年2回、4月末と10月末を基準日に贈呈される。仕立券を使うには同店でフレームを購入する必要があるものの、日常的に眼鏡を使う人には利便性の高い優待となりそうだ。また2位のアイ・ケイ・ケイ(2198)は結婚式場を運営している。新型コロナウイルスの影響で挙式延期などの影響が生じることへの懸念から株価が低迷しているが、お菓子の詰め合わせと全国主要都市を中心とするレストランで対象コースの食事に使える優待券がもらえ、楽しみが多い(図1)。
■人気の飲食チェーン コロナの影響で売上減少、株価の値動きも鈍い
4月の優待銘柄は少ないものの、業態は多岐にわたる。旅行大手のエイチ・アイ・エス(9603)は旅行商品の購入に使える優待券がもらえるほか、人気の飲食チェーンの割引券も5社が予定している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って緊急事態宣言が出されたことで、休業に踏み切る企業も増えており、4月は一段と既存店売上高の落ち込みが懸念される中で株価の値動きも鈍い(図2)。
■中長期投資の好機も
株価低迷は利回りの上昇につながり優待妙味は増している。短期的には含み損が生じるリスクもあるが、新型コロナ終息後も見据えて中長期の保有を探る好機になる可能性もある。例えばラーメンチェーンのギフト(9279、マザーズ)の3月の既存店売上高は前年同月比13.7%減と落ち込んだが、株価は4月以降、3割あまり上昇している。相場全体に底入れ感が出ていることもあるが、テイクアウトやデリバリーの拡充を進めている上、相対的に減収率が小さいことが評価されている可能性がある。プラス圏を維持しているくら寿司(2695)も2月までは既存店売上高は2カ月連続で増加しており、終息後の回復は早いとの期待感もあるようだ。
また新型コロナの影響で利用機会が減ることを考慮し、飲食チェーンでは前年に実施した優待の有効期限を延長する動きが広まっている。3月以降では14日までに27社が発表した。手元にある優待券についても期限延長の有無などを確認し、有効的に使っていきたいところだ。
一方、新型コロナの影響は企業の資金繰りや収益環境、財務基盤に及びつつあり、株主優待の見直しに及ぶ可能性も否定しきれない。本来4月優待銘柄の梅の花(7604、2部)は、もともと業況が悪いところに新型コロナが追い打ちをかけたことで業績改善を優先させるため、割引に使える優待証は継続するものの、200株以上を保有する株主を対象に贈呈していた優待券は廃止する。3月期決算の力の源ホールディングス(3561)は期末配当の実施を見送った。
■安定性ランキング
安定性を見極める上で、4月優待銘柄のうち①直近の現預金残高から有利子負債を除いたがプラス、②前期のフリーキャッシュフロー(純現金収支、FCF)が黒字かつ、FCFの売上高に対する比率が3%以上の銘柄をランキングすると首位は業務用インテリアのオリバー(7959)だった(図3)。
オリバーの優待ではグルメカードがもらえる。優待内容だけでなく業績動向にも目配りしながら、コロナ後を見据えた投資機会を探ってみたいところだ。