新型コロナウイルスの感染拡大以降、株式市場で注目されているのがSaaS(Software as a Service)関連銘柄だ。SaaSは、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアもしくはその提供形態のこと。クラウドサービスのひとつにあたり、利用者にインターネットを通じて、サービスを提供するシステムだ。Web会議システムや電子契約サービスの普及など、今や当たり前のサービス形態となっているSaaSだが、コロナ問題を受けたリモートワークの普及に伴い、 中長期的にSaaS を利用した業務効率化の需要が高まると見られている。
QUICKが選定したSaaS関連銘柄の75日間の平均上昇率は72.4%。同期間でTOPIX(東証株価指数)が18.8%高だったことと比べると、市場の関心が高まっていることがわかる。75日間の上昇率上位をみると、セキュリティ対策の電子証明書発行のGMOクラウドのほか、情報漏洩防止サービスのBBSecなどの株価上昇が目立つ。ビジネスチャットツールのChatworkや、グループウェアのサイボウズ、クラウド会計のフリーなども上位に顔を出す。
法制度面でも追い風は吹く。10月に施工される改正電子帳簿保存法(電帳法)の新ルールでは、税務調査において電子データを使える場面が増えるようになる。紙の領収書や請求書の原本を保存する必要がなくなる一方、効率的かつ安全にデータを管理するニーズが現れるため、クラウドサービスで経理処理や稟議処理などを提供する企業にとってはビジネス拡大の好機となる。
もっとも、ある国内証券のアナリストは「今後、コロナ問題を受けた成長が顕在化するSaaS企業がある一方、これまでSaaS業界を牽引してきた先行組は成長が鈍化する兆しがある。先行組は既存顧客の単価上昇による成長フェーズに転換できるかに注意したい」といい、SaaS関連銘柄内の二極化/選別を警戒する見方もあった。
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