新型コロナウイルス感染拡大の影響で大荒れとなった2020年前半の株式相場。投資信託を運用する投資のプロたちも前例のない状況への対応にてんてこ舞いだった。個人投資家が注目するファンドは半年間で組み入れ銘柄をどう入れ替えたのか。月次レポートをもとに「ビフォーアフター」を検証した。
今回取り上げるのは日興アセットマネジメントが運用する「ミュータント」(02311009)。主に国内株式のうち、将来、爆発的な変貌を遂げうる「ミュータント・カンパニー」を厳選して投資する。運用を担当する北原淳平氏は、世界的な株安局面を「中長期的な成長を期待できる銘柄を割安に取得できるチャンス」(3月3日のお知らせ)と捉え、コロナ相場に挑んだ。
■組み入れ銘柄はコロナ禍で増加
20年6月末時点の組み入れ上位10銘柄を19年12月末時点と比べると、5銘柄が新しくランキング入りした(図表)。銘柄数は37銘柄から43銘柄へと増加。北原氏が運用を担当するようになった2019年8月以降で最も多い。
6月末時点の組み入れ1位は、ソフトウエアの受託開発などを手掛けるベース(4481)。今年3月末時点で8位に浮上し、5月末と6月末は連続で1位になった。半年前に1位だった企業広告業務を展開するエードット(7063)は圏外となった。
8位と9位には、カード会社大手のクレディセゾン(8253)とリース業などを展開するオリックス(8591)が並んだ。2社が属する「その他金融業」の組み入れ比率は17.9%と、月次レポートでさかのぼって比較できる1月末時点(3.9%)から大きく上昇した。
■年後半の景気回復を予想
6月末時点の年初来リターン(分配金再投資ベース)は1.2%のプラスで、同期間の配当込み東証株価指数(TOPIX)のマイナス8.2%を大きく上回る。3月19日に付けた年初来安値から6月末までに59.1%上昇し、コロナショックからの回復が鮮明だ。
今後の見通しについては、最新の月次レポートで「世界経済は年後半に回復基調を強め、株価も底堅く推移する」と予想。業績動向や株価のバリュエーション(価値評価)をもとに「ミュータント・カンパニー」を選別していく。(QUICK資産運用研究所=望月瑞希)
◇「ミュータント」の関連資料はこちら
ファンドに関するお知らせ(3月3日)
月次レポート(6月末時点)